「郵便局の民営化」で何が変わる? (3)郵便貯金分野

2007年09月23日 18:00

貯金イメージあと10日を切った「郵政民営化」。続いては具体的な項目の二つ目、簡保より多くの人が気にしているであろう「郵貯」こと「郵便貯金」。民営化後は「株式会社ゆうちょ銀行」が担当することになる。……ところでこれまで、「預貯金」の言葉にあるように、郵便局への預け入れは「貯金」、銀行へは「預金」という分け方がされていたのだが、民営化して「ゆうちょ銀行」になっても、やはり「貯金」のままなのかしら、という疑問が。これは後ほど調べることにしよう。

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政府保証のある貯金契約とない貯金契約

民営化後の郵便貯金は「基本的に」ゆうちょ銀行に引き継がれ、政府保証は無くなる。他の金融機関同様、預金保険制度によって守られ、元本1000万円とその利息までが保護の対象となる。もっとも民営化直後はどのみち1000万円が上限なので、事実上「全額保証」に変わりはない。

「基本的に」というのは、一部契約、具体的には定期性の郵便貯金は例外扱いされるということ。民営化前にこれらの貯金を契約していた場合、民営化後はゆうちょ銀行にではなく管理機構に受け継がれ、引き続き政府保証が受けられることに。

政府保証が続くものと続かないものの一覧は次の通り。

◆政府保証が続くもの(管理機構扱い)……定期性の郵便貯金
・定額郵便貯金
・定期郵便貯金
・積立郵便貯金
・住宅積立郵便貯金
・教育積立郵便貯金
(満期が到来して通常郵便貯金になったものを含む)

◆預金保険制度によって保護されるもの(ゆうちょ銀行扱い)……通常郵便貯金
・通常郵便貯金
・通常貯蓄貯金
・郵便振替口座の預かり金


もしお金に余裕があり「政府保証でないとイヤ」と考えている人がいたら、今のうちに口座を開いて積み立てておこう。

カードや通帳はそのまま使える

簡保同様、郵便貯金分野でも、通帳や証書、カードなどは現行のものが引き続き利用できる。わざわざ名義などを書き換える必要はない。今使っているものの変更が必要になり(通帳を記入しきったなど)新しいものに交換する時に、ゆうちょ銀行のに差し換わる。口座番号なども変更はナシ。

ただし総合通帳で利用している担保定額・定期貯金は(ICキャッシュカード利用者以外は)現行通帳では新規預け入れができないため、預け入れの際に通帳を切り替えることになる。

一部廃止になる制度も

民営化に伴い郵便貯金法が廃止されるため、定期郵便貯金などの取り扱いで変更になるものが山ほどある。民営化後は自動継続の取り扱いができないため、ゆうちょ銀行や郵便局での手続きが必要。

・定期郵便貯金……管理機構の通常郵便貯金に。
・積立郵便貯金、住宅積立郵便貯金、教育積立郵便貯金……管理機構に。継続積立可能。
・自動積立定額・定期郵便貯金……管理機構に。自動積立停止。通常郵便貯金に。
・満期一括受取型定期郵便貯金……管理機構に。自動積立停止。通常郵便貯金に。
・定期受取型定額郵便貯金……自動積立停止。
・利子分割払定期郵便貯金。管理機構に。
etc...


なお、大多数はゆうちょ銀行の通常貯金などへの預入制度が用意されている。

投資信託と郵便為替

郵便局でのセールスが好調な投資信託(投信)。この業務もゆうちょ銀行に引き継がれる。現在取り扱っている店舗=郵便局で引き続き利用できるので心配はナシ。なお郵便局は「金融商品仲介業者」となり、ゆうちょ銀行からの委託を受けて投信を取り扱うことになる。また、口座番号に変更はない。

郵便為替証書の事務もゆうちょ銀行に引き継がれる。民営化前に発行された証書も問題なく使用可能。ただし権利消滅の期間はこれまで同様なのと、(民営化前に発行された証書について)有効期間調整のための再発行は出来ない。その場合、現金で返金されることになるので注意が必要。

貯金上限やマル優

民営化後のゆうちょ銀行への預け入れには政府保証は無い。他の民間銀行と同じく、預金保険制度によって1000万円とその利息全額(決済用預金相当貯金は全額)が保護される。民営化後は預け入れ限度額は一人1000万円までなので全額保証とほぼ同じ。ただし今後限度額がかさ上げされれば、事実上の全額保証では無くなる。

また、他の金融機関と合わせて、共通の非課税枠(俗にいうマル優制度、350万円)を利用できる。さらに国債については特別マル優制度の適用も可能。


■一連の記事:「郵便局の民営化」で何が変わる?
【(1)そもそも郵政民営化とは】
【(2)簡易保険分野】
【(3)郵便貯金分野】
【(4)郵便分野】
【(5)手数料】
【(6)あと一週間で出来ること】
【(番外編)「貯金」と「預金」】

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