「郵便局の民営化」で何が変わる? (1)そもそも郵政民営化とは

2007年09月23日 18:00

コラムイメージ国内外の政治情勢の変化や株価の急落、年金不祥事問題などで影に隠れがちだが、10月1日から経済の一大イベント「郵政民営化」が本格スタートする。約一週間後にひかえたこともあり、一度簡単にではあるがおさらいの意味も兼ねてまとめてみることにする。

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そもそも「郵政民営化」とは

そもそも「郵政民営化」とは、1985年に行なわれたNTT(電話事業)や1987年に実施されたJR(鉄道事業)に続く、大型公共事業の民営化プロジェクト。内部事業が多種多様に及ぶため、先輩にあたるNTTやJRとは多少異なるプロセスで民営化が行なわれる。現在郵便事業を行なっている「日本郵政公社」は、この民営化プロジェクトにおける「準備会社」みたいなものだと思えば良い。

10月1日以降は、この「日本郵政公社」が持ち株会社の「日本郵政株式会社」のもと、「郵便事業株式会社」(郵便)、「株式会社ゆうちょ銀行」(郵便貯金)、「株式会社かんぽ生命保険」(簡保)の3つと、郵便局の窓口業務を担当する「郵便局株式会社」に分割される。そして前社3つは「郵便局株式会社」に委託して、各種業務を執り行うことになる。いわば、「郵便事業株式会社」「株式会社ゆうちょ銀行」「株式会社かんぽ生命保険」は事業会社で、「郵便局株式会社」は販売代理店会社のようなものといえる。

なおそれぞれの事業会社の株式は持ち株会社が持ち、持ち株会社の株式は民営化直後は政府が全部保有することになる。この時点では「形だけ整えた見せ掛けの民営化」といえるかもしれない(もちろん各種法律面では民営企業として扱われる)。

民営化直後と最終的な民営化達成時における郵便事業の全体像
民営化直後と最終的な民営化達成時における郵便事業の全体像

最終的には(現在は2017年10月までに、との予定)図の下部にあるように、「ゆうちょ銀行」「かんぽ生命保険」の所有株式は全部売却されて上場し、完全な民間会社となる。一方、旧郵政公社業務の総括窓口となる「郵便局株式会社」と郵便事業を取りまとめる「郵便事業株式会社」は引き続き持ち株会社「日本郵政株式会社」の傘下に収まったままとなり、この持ち株会社の方が上場する。ただし1/3を超える株式は引き続き政府が保有することになる。他の民間企業で代替しえない大切なインフラを抱える会社なだけに、政府の目が行き届くようにしないといけないという配慮からだ(本当は過半数の方が確実なのだが……)。

民営化の必要性とメリット、問題点

先輩方のNTTやJRが民営化したのは、効率性・採算性の向上が主な目的だった。郵政の民営かも似たようなもの。このままでは(公的機関として厚い保護を受けながら)採算的に色々と問題が生じる可能性が高いため、民営化を果たして効率性を高めるのが狙い。

民営化されることで、これまで各種事業で非課税だった郵政事業内の収益について、法人税などの税金が発生することになる。もちろん株式の売却益もあわせ、国の財政にはプラスとなる。また、一部を除いて職員は民間企業の社員となり、労働基本権も与えられる。

◆民営化後の郵政企業
・強すぎる→同業他社への圧迫
・弱すぎる→インフラ事業責任
……難しいパワーバランス調整

地域ネットワークに必要不可欠な地方郵便局については、「持ち株会社」の収益を元に基金が設けられ、その運用益が赤字の地方郵便局に交付され、継続をサポートすることになる。

一方、巨大な公的機関が民営化することで、既存の同業他社(民間企業)は戦々恐々としている。規模的に考えれば、休日の地域対抗草野球大会に、いきなりメジャーリーグ級のプロチームが参戦したようなものだからだ。

ただし規模が大きいのには違いないが、公的機関として活動を続けていた企業が民間の荒波の中でうまく立ち行きできるのか疑問視する意見もある。これまで事実上無税で運営してきた団体に、各種税金が課せられ、バランスシート的に大丈夫なのか、と心配する声も多い。

民営化する各郵政会社が強すぎても困るし弱すぎても困る。非常に微妙なバランス調整を内外から求められつつ、民営化がスタートすることになる。


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【(4)郵便分野】
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【(番外編)「貯金」と「預金」】

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