「物価が上がってるね」計測史上最高の85.9%に

2008年04月07日 08:00

景気イメージ日本銀行は4月3日、「生活意識に関するアンケート調査」の結果を発表した。それによると「この1年間で物価が上がった」と考えている人は過去最高の85.9%に達し、さらに今後支出を減らそうと考えている人も6割近くに登っていることが明らかになった。今件は物価上昇による消費性向の減退が如実に分かる調査結果として、注目を集めている(【発表リリース、PDF】)。

スポンサードリンク

今調査は日本銀行が3か月ごとに行っているもので、今回のデータは2月8日から3月7日の間、20歳以上の個人に対し郵送調査方式によって行われたもの。有効回答数は2302人。男女比は50.1対49.9。年齢階層比は70歳以上がもっとも多く19.2%、以下50代18.1%、30代17.3%など。

調査結果ではさまざまな観点から景気感についてたずねているが、「1年前に比べて今の物価がどう変わったのか」という問いに対し、「かなり上がった」「少し上がった」という上がった派が85.9%に達している。

現在の物価は1年間でどう変わったか
現在の物価は1年間でどう変わったか

物価上昇感は直近3回分の調査ですら大幅に増加しているのが分かるが、今回の85.9%は1993年に調査を始めて以来最高の値となっている。そして物価が高くなって暮らし向きが良くなる人などほとんどいるはずもなく、現在の暮らし向きについて「ゆとりがなくなってきた」と回答した人は過半数を大きく超え6割近くにのぼり、こちらも過去最高の数字を出している。

現在の暮らし向き
現在の暮らし向き

物価が上がり、暮らし向きにゆとりがなくなれば、景況感も悪くなる。景況感も以前の調査より悪化が見受けられ、D.I.値も暮らし向き・現在景況感共に低下傾向が見られる。特に「現在の景況感」の低下が昨年夏急落しており、昨夏以降景気が急速に悪化した雰囲気が浸透しているようすがうかがえる。

暮らし向き・現在景況感D.I.それぞれの推移
暮らし向き・現在景況感D.I.それぞれの推移

物価上昇を実感し暮らし向きにゆとりが無くなり、「景気が悪くなったな」と実感すれば、まず最初に対抗策として考えるのは「出費を抑える」こと。今後1年間において「現在と比べて支出を増やすか減らすか」についてたずねたところ、過去最高の57.3%が「減らす」と答えている。

現在の支出を1年前と比べて
現在の支出を1年前と比べて
1年後の支出は現在と比べて
1年後の支出は現在と比べて
・昨年冬までは
「物価上昇は一時的・許容できる」
・だがその後も物価上昇は続き
「もう我慢できない、
支出を減らさねば」
と防御姿勢に切り替わる

興味深いのは「1年間で支出が増えた」と回答しているのは去年夏から去年冬にかけて大幅に増えているのに対し、去年冬から今回の今年春になると逆に減っていること。「今後の支出を減らす」と回答している人は昨年夏から確実に増えていることとあわせて考えると、「昨年夏から景気後退感・物価上昇を持つ人が増え始めたが、それでも昨年冬までは短期的に終わるだろうから、あるいはまだ何とかなる範囲だと物価上昇に身を任せている人が多かった(=支出が増える)。しかし昨冬以降は危機感を募らせ、支出を減らす人が増加している」という状況が推測できる。


身の回りの商品の値上がりが相次ぎ、不況感が広まると共に、今後の景気先行きにも慎重な見方が強くなっている。1年後の景気感も悪化の一途をたどっているが「現在の」景気感と比べればやや横ばいにも見え、「少なくとも今以上に景気が悪くなることはないだろう」「今が景気の底だ」と考えている人が増えつつあるようにも見える。

とはいえ、消費が落ち込めばただでさえ低調な内需がさらに落ち込むのは必死。当サイトでも定期的に観測している小売・外食業を中心に、まだしばらくは売り上げ不振が続くことだろう。経済上の需給バランスの調整がとれ、外部要因的な素材の価格高騰に歯止めがかかるまで、今しばらく国民間の「不況感」は続き、消費へ慎重になる人が増加する可能性は低くないと思われる。


■関連記事:
【ガソリン・灯油・パン・めん類……「物価高騰」実感9割にも】
【9割以上が「食品値上げで生活がきびしい!」】
【企業も消費者も「景気悪いね」~景気動向指数悪化・ITバブル崩壊後に近づく】

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...

スポンサードリンク



 


 
(C)JGNN||このサイトについて|サイトマップ|お問い合わせ