ガソリン・灯油・パン・めん類……「物価高騰」実感9割にも

2008年02月29日 06:30

物価高騰イメージマイボイスコムが発表した調査結果によると、2月初旬の時点で消費者の約9割が「物価が高騰している」と実感していることが明らかになった。またその高騰でもっとも切実なものの事例としてはガソリン・灯油やパン・めん類などの小麦製品が挙げられ、生活に欠かせない商品たちの値上げが消費者の財布を痛めている状況が見て取れる(【発表リリース】)。

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今調査はインターネット経由で2月1日から5日の間に行なわれ、有効回答数は1万5339人。男女比は46対54で年齢構成比は30代37%・40代28%など。

身近なものほど値上げが気になりやすい

期間を過去半年間に区切り、この間に物価が上昇したと実感しているかどうかについて尋ねたところ、「とても実感」「まあ実感」をあわせた「実感派」は9割近くを占める結果となった。

この半年間に物価が上昇したと実感しているか
この半年間に物価が上昇したと実感しているか

後述するが「物価上昇実感派9割」という値は同様の他調査でも似たような結果が出ており、「9割」という値がほぼ消費者全体の意見であることが再確認できる。むしろ物価上昇を実感していない人たちに、その理由を確認したいところである。

さて具体的にどのような商品の値上げに「価格上昇」を実感しているのか。やはり値上げを体感するのは「いつも使っている」「生活に欠かせない」商品やサービスが上位を占めた。

■価格上昇を実感している製品・サービス(複数回答)
・ガソリンや灯油……91.2%
・食品(パン・めん類などの小麦製品)……63.5%
・電気代やガス代などの光熱費……49.1%
・食品(食用油やマヨネーズなどの調味料)……44.8%
・トイレットペーパーやコピー用紙などの紙類……42.3%
……etc.


現実にはアルコール類や衣料品、菓子類などどちらかといえばし好品的なものの価格も上昇しているが、それらに対する価格上昇の感じはあまり無い。むしろ毎日のように消費する商品に対し、手に取るたびに値上がりを見せ付けられるため、「物価が上がっている」と再確認させられるというのが実情だろう。

■値上がり実感&困るもの
「ガソリン・灯油」
「食品(小麦製品)」
「光熱費」

実際に物価上昇が切実(身に強く響いてくること)なものに対する回答も、「ガソリン・灯油」「食品(パン・めん類などの小麦製品)」「電気代やガス代などの光熱費」の「実感しているものベスト3」がそのまま横滑りする形で上位についている。つまりこれら3要素について消費者は「値上げしてるの分かるし、大変困るんだよな」と考えていることになる。

「ぜいたくは敵だ」

実入りがそのままで物価上昇により支出が増えれば、どこかで切り詰めないと家計は破綻する。価格上昇を実感している人に、物価上昇に伴い切り詰めるようになったものについて尋ねたところ、「外食費」「交通費」など削っても何とかなりそうなものが上位を占めた。

■出費を切り詰めているものは(複数回答)
・外食費……41.0%
・交通費(ガソリン含む)……27.0%
・趣味や娯楽に利用する費用……25.4%
・自宅での食費……25.1%
・水道、ガス、電気……22.6%
・衣料品……18.9%
・おこづかい……17.8%
・交際費……17.7%
……etc.


生活消耗品や生活雑貨などの切り詰め率は低く、生活に欠かせないわけではない外食費や、趣味や娯楽に利用する費用など、「生活を続ける際に優先順位が低い」項目に対する切り詰めが目立つ。ここ半年ほどの間、毎月小売各社の発表売上データを分析している過程で、特に外食産業の不調が目立つが、「外食費の切り詰め」が4割にも達しているあたり、納得できるものがある。

値上げは仕方ないが、それでも許せない

昨今の物価上昇の原因はバイオエタノールに代表される代替燃料問題や新興国の需要拡大、気候不順に端を発する食品素材の需給バランスの変化、サブプライムローン問題などによる金融信用不安から起きた投機マネーの商品取引への過度の流入などが挙げられる。生産量が減って消費者が増えて、さらに投機の対象として取引を行う人が増えれば、値が釣りあがるのも当然の話。特に「コモディティ」と呼ばれる、商品取引市場において売買されるような商品(そして基本的な機能さえ備わっていればどこのものでも購入する、生活に欠かせない商品)の値上げが激しい。

値上げしても止むを得ないのは何かという問いには「ガソリン・灯油」「食品」「光熱費」など生活必需品に対する回答が多いが、それ以上に「いずれもない」とする回答が多数を占めているあたり、「事情は分かっているけど、でもなぁ……」という消費者側の想いが見て取れる。

それがもっとよく分かるのが「価格高騰に対する許容度」。現在の物価・価格高騰に対してどう思うか、選択肢の中から選ばせたところ、6割以上が「事情は分かっているけど許しがたい」と回答している。

価格高騰に対する許容度
価格高騰に対する許容度

「分かっているし止むを得ない」と回答した2割強の実に3倍近くが「分かっているけど許しがたい」という消費者の心の葛藤が見て取れる。なお見方を変えれば、8割強の人が「物価高騰の原因は理解している」ということになる。


「分かっているが許せない」と回答した具体例では「企業が最高益を出しているのに値上げが激しいのは許せない」「食べ物を使って燃料を作るのは理不尽」「素材が値下げしても商品価格は下がらないのでは」「投機的なやりとりで物価が上昇するのは勘弁ならない」など、状況を把握した上で行き所の無い(正確には行き所はあるのだがどうしたら良いのか分からない、どうにもできない)ネガティブな想いが蓄積しているようにも見える。

また上記で呈したように、外食やレジャーなど、心の安らぎや息抜きのための出費が優先して削られていることから、こちらの面でも生活面でのプレッシャー感・精神的なゆとりの欠乏が危惧される(「止むを得ない」派では一種の悟りすら感じるのがせめてもの幸いか)。

物価の上昇で消費者全体に、メンタル的な面でのストレスが上昇しているのではないか、それがさらに社会的に他の方面で良くない影響を及ぼすのではないか。それが心配でならない。


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