【更新】9割以上が「食品値上げで生活がきびしい!」

2008年02月22日 06:30

安売りイメージgooリサーチなどは2月21日、食品価格値上げなどに関する調査の結果を発表した。それによると、毎日のように報じられている食料品を中心とした生活必需品の値上げについて「生活に影響している」と考えている人の割合は、その程度に違いはあれど9割以上に達していることが明らかになった。事実上の物価の値上がりともいえるこの状況において、家計に深刻なダメージを与えていることが改めてうかがい知れるデータとなっている(【発表リリース】)

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民の声は「食品値上げで生活に影響アリ!」

今調査は1月18日~20日、gooリサーチのモニターから無作為抽出された20歳以上を対象にインターネット経由で行なわれたもので、有効回答数は1086人。年齢階層・性別比などは非公開。ネットユーザーからのみの調査ということで、世間一般の意見とは多少ずれが生じている可能性がある。

昨今の物価上昇の原因はさまざまだが、大きな要因は複数の市場原理によるもの。一つは新興国の需要増加による需要と供給のバランスの問題。一つはバイオエタノールブームによるとうもろこしなど主要原料への過度の注力による他穀物の生産減少。そしてもう一つはサブプライムローンなどの金融信用不安問題で投機資金が商品先物市場に流れ込み、商品の価格を押し上げていることにある。それぞれが互いに影響を及ぼしあい、さまざまな素材(特に食料品など生活必需品)の価格を押し上げている。

食料品などの価格値上げが生活に影響しているかという問いには、実に9割以上の人が何らかの形で影響していると答えている。もちろんマイナスの影響である。

値上げが生活に影響しているかどうか。
値上げが生活に影響しているかどうか。

「大いに」と「多少は」がほぼ半分で均衡し、合わせて90.41%もの人が「影響あり」と答えている。「まったく」影響はないは1%にも満たず、「あまり」影響は無いとする人も9%程度。ほとんどの人が「値上げ、キツいな~」と考えていることが分かる。

買い控え傾向強まる

具体的にどのような影響が生じているのか。影響がある、と答えた人に複数回答でその実情を選択肢から選んでもらったところ、商品選択のスタイルを変えるなど、消費行動の減退を示唆するデータが出た。

値上がりでどのような影響が出たか(複数回答・影響ありと回答した人のみ)
値上がりでどのような影響が出たか(複数回答・影響ありと回答した人のみ)

「家計防衛のための生活の知恵」とは良く言ったものだが、ひんぱんに買い物をすることになる生活必需品の値上げは、「消費する金額を増やしてでも以前の購入量・品質を維持する」のではなく、「購入量を減らしたり購入単価を落として出費を以前のままに留めるよう努力する」方向で対応している人が多いようだ。

商品の提供側としては「原材料費が上がっているから商品単価を上げざるを得ない」という事情がある。しかし今回の調査結果を見ると、消費者側はそれに対応して購入量を減らしたりもっと安い商品を選んだり、果ては購入そのものを止める・頻度を少なくするという傾向が見られる。商品単品での単価は上がり採算は取れるだろうが、全体の売上が落ちるので、業績そのものはかえって不振になりかねない。かくしてさらなる値上げをしなければならないという、マイナススパイラル状態に陥りかねない状態にあるともいえる。

「値上げ、仕方ないよね」!?「でもやっぱり辛いよ」?!

それでは消費者サイドから見て、今回の一連の値上げをどう考えているのか。

相次ぐ値上げに対し、どちらの意見に近いか。
相次ぐ値上げに対し、どちらの意見に近いか。

やや「困る」派が多いものの、「やむを得ない」と回答する人も半数近くおり、意外に競っていることが分かる。中には便乗値上げ的なものもあるが、素材の高騰が日夜報じられており、それが生活必需品の商品価格に転嫁されるのも止む無し、という考えが浸透しているのだろう。


原材料の価格上昇は冒頭で述べたように「世界的需要急増」「バイオエタノール」「投機マネー」の3点が大きな原因。これらについては当サイトでもそれぞれの視点から何度と無くお伝えしている。またこれにあわせ、昨年秋以降、スーパーやコンビニなど主要小売店における月次売上データなどを取得し分析記事を展開しているが、それらのデータを見ると多くの業種で「顧客単価の減少」という傾向が見られる。

生活必需品の価格上昇と顧客単価の減少がほぼ同時期に起きているということは、消費者がそれだけ買い控えをしていると受け止めることもできる。タクシー業界に代表されるように、利益を確保するために単価を上げたところ、かえって利用客が減り売上も利益も落ちてしまうというパターンが他の業態でもおきている。

もちろん手を打つところも多い。この傾向に気が付き、対応しているところも増えつつある。[一部商品を値下げして顧客離れを防いだり(アスクルの場合:日経新聞報道)]、[価格.comのように(リリース、PDF)]大幅値下げランキングを開始して数少ない値下げ品をアピールし、お客の目を引きつけるなど、状況にあわせた努力を展開している。

値上げ要素3点それぞれが今日明日、数か月の単位で解決しそうにないことを考えると、この物価高、そしてさらなる物価の上昇傾向はしばらく続きそうだ。商品提供側も消費者も、さらなる知恵の出し合いが求められることだろう。

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