ニンテンドーDSと「バイラルマーケティング(口コミ戦略)」の意外でステキな関係……上編

2006年11月12日 18:30

ゲームイメージ最近話題に登る言葉、話のネタのキーワードの一つに「バイラルマーケティング」がある。直訳すれば「感染市場戦略」。これでは何のことだかよく分からないが、要はウィルスが感染していくように、口コミで情報が浸透し伝えられていくというマーケティング手法のことを差す。先日[任天堂(7974)]の携帯ゲーム機「ニンテンドーDS Lite」をようやく実際に購入して色々いじっていくうちに、この「バイラルマーケティング」の手法を非常にうまく利用している、あるいは逆に最良のツールではないかと思えてきた。

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「バイラルマーケティング」とはすでに2001年の段階でアメリカでは広まっていた手法・論理で、当方も本文中横にある書籍、セス・ゴーディン氏による「バイラルマーケティング」を発売当初に読んで「なるほど」とうなづいたもの。もっともその当時は日本ではあまり重要視されず、むしろ最近のブログブームやCGM(Consumer Generated Media、利用者側が書き込みなどでコンテンツを提供して新たな価値を生み出していくタイプのメディア)サービスなどのWeb2.0云々と絡んでようやく広まりだした形だ。

要は「バイラルマーケティング」とは「(ネットなども利用した)口コミの有効活用戦略」ということ。【「共存を」40.40%、「閲覧するだけなら抵抗感ナシ」45.14%~動画投稿サイトの意識調査結果】でも漫画のセリフを例に触れた、「自分が良いと思ったものは、その喜びを分かち合いたいため、他人にも自然に薦めたくなる」「(特に信頼できる人から)薦められたものは安心して選択できる」というプロセスを、自然に起きるように色々と準備を施すというやり方だ。奥様方の井戸端会議での話や、「みのもんた」氏の影響力の大きさが良い例だろう。ちなみに「みのもんた」氏のように、他人に影響を与えうる、口コミのスタート地点にあたる人のことをバイラルマーケティングにおいては「スピーカー」「スニーザー」(多数の人に対象物を薦める影響力のある人。クシャミを意味する「Sneeze」からの言葉)と呼んでいる。

クシャミをした人がウィルスを広めていくように口コミは広がっていく
「バイラルマーケティング」の概要図。クシャミをした人(スニーザー)がウィルスを広めていくように口コミは広がっていく

少数の「スニーザー」からその権威や信頼性を元に産み出された「口コミ情報」は、多くの人に伝播され、その受け手は(「あの人が言っていたわよ」という後ろ盾を伴いつつ)より多くの人に対する「スニーザー」となりうる。まさにウィルスのように広まっていくわけだ。実物がなく口頭だけだと情報がぼける場合もあるが、実際に手に入れて確かめたりした場合、自分自身の感想も加味され、口コミ情報はさらに強固なものとなる。例えるなら「みのもんたがお昼の番組で服の上手な片付け方披露してたけど、あれ本当に便利よ。私もやってみたけど、きれいにしまえるの」という感じだ。「なら私もやってみようかしら」と思わずにはいられないだろう。

もちろん【ネット上の「うわさ」「口コミ」と広報の対処術……上】などにもあるように「薦める、薦められる」の過程は自然に心の奥底からわき上がるものでないと効果が無い。リチャード氏がウォールマートの件でやらかしたように、やらせは古今東西言語道断だし、バレたら「僕の気持ちを裏切ったな!(以下略)」という怒りに燃えたユーザーらによって、言葉どおり「炎上」することにすらなりかねない。

前置きが長くなった。ではなぜこのような「バイラルマーケティング」において任天堂の携帯ゲーム機「ニンテンドーDS」が最良のツールであり、また同時にこの手法を非常にうまく利用していると思えてきたのか。まずは箇条書きでざっと説明してみよう。

・良いソフトを市場に提供できればユーザーの一人一人が「スニーザー」になりうる。商品自身がそのままツールになる。
・「一人から多数へ」のプロセスが容易に可能。しかもハードルが低い。
・地域コミュニティ単位で広まる。
・メーカー側も納得の仕様。


簡単にまとめるとこのような形になる。下編では具体的に説明していくことにする。


■一連の記事:
【ニンテンドーDSと「バイラルマーケティング(口コミ戦略)」の意外でステキな関係……上編】
【ニンテンドーDSと「バイラルマーケティング(口コミ戦略)」の意外でステキな関係……下編】


(最終更新:2013/09/15)

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