【修正版】mixi(2121)上場、目論見書をさらにチェックしてツッコミを入れてみる

2006年08月21日 20:35

Mixiイメージ先に【mixi(2121)上場、目論見書をさらにチェックしてツッコミを入れてみる】で、9月14日に東証マザーズに上場する、SNSの日本でのトップカンパニーたる【mixi(2121)】が発表した目論見書について多少精査してみた件で、気になる点がいくつかあったのでさらにチェックを入れてみた。今回はそのご報告。

スポンサードリンク

まず1点は「上場するというのに自社公式サイトで目論見書を一切載せないというのは、情報開示という観点からすると少々問題があるのではないか。ましてや情報を事業の主軸におくIT企業なのだから、積極的に開示すべきでは」という疑問。準備不足なのかな、しばらくすれば掲載されるのかな、と数日待ってみたが一向に掲載される気配がない。

もう1点は少々細かい話。【目論見書】をじっくり読むと分かるのだが、上場前にmixiでは新株予約権が計8回発行されている。順番に①から⑧の番号が割り振ってあるのが分かる。そしてそのあとに、それぞれの新株予約権について取得者の概要が掲載されているのだが、なぜかそれが②から⑧までで、一番最初の①、つまり平成16年2月6日の第一回新株予約権発行分については何の情報も開示されていない。単なる抜け落ちかミスか、それとも意図してのものなのか。後者なら情報開示のための「目論見書」としては問題があるのではないか。

以上2点について、先週金曜日の18日にmixiのIRに電話で確認を入れたところ担当者は帰社したとのことで、本日21日再度電話を入れた。事務所の上司から許可をいただき、17時前に電話。これなら担当者が居ないということもあるまい。電話に出て回答して下さったのはKさん(上司とKさん、両者に多謝)。

まず1つめ。目論見書が自社公式サイトに載っていない件。

不破:……というわけで、公式サイトに目論見書が掲載されていないのは不親切だと思う。今後載せる予定は?
mixi:「そういう方針」なので載せるつもりはない。
不破:それでは上場後、財務諸表など各種IR情報は載せるのか。東証などの上場規定にあるように情報の開示は必要不可欠。そういう姿勢で大丈夫?
mixi:上場後は法令に則った掲載を行う。


ということで、目論見書を載せるつもりはないとのこと。法令に記述がないのなら別に載せなくてもかまわないのだろうが、よりによってSNSのリーダー企業たるmixiがサイトでの情報公開への姿勢について「こういう方針」というのは、ちょっと首を傾げるお話。

つづいて2つめ。新株予約権に関する件。

不破:新株予約権の記載で、平成16年2月6日の第一回新株予約権発行分については何の情報も開示されていないのはなぜか。
mixi:法令で「2年以内のは開示する義務がある」ということであり、2年を超しているものは義務がない。該当する新株予約権は2年を経過しているので、乗せる必要はないと判断し、載せなかった。
不破:情報開示は積極的に行うべき。ましてや上場直前の企業なら特にそう。「不自然と思われるような点が存在しても、義務ではないからその点においては情報を公開しない」というのはいかがなものか。「義務ではないので載せても載せなくてもよい。だからmixi側としては載せない」と判断した上で載せなかったと認識してよいのか。
 ②から⑧までは載っているのに①は載っていないというのは、不自然であると見られても仕方ないのではないか。
mixi:その通り。証券会社などからも確認を得ており、何の問題も無い。


とのお返事。本当にお腹が痛いのかどうかは分からないが、「痛くない腹を探られたくは無い」というような印象がうかがえた。結局、第一回の新株予約権が誰宛に発行されたのか、その相手の素性などは一切分からずじまいだった(株主一覧などから差引きすればある程度推測はできるし、その「発行先」を調べると色々な話が出てきそうな雰囲気なのだが、ここでは触れないでおく)。

もっとも「本当に痛くも無く、探られても問題のないお腹なら、さらけ出して探られるようにするのが上場企業としての正しい情報開示のあり方では」、少なくとも「上場前における目論見書においては、そのような姿勢を採るべき」ではないか。そんな感想を持たざるを得なかった。

mixi(旧名:イーマーキュリー)は同社の求人検索サイト【Find Job】の黎明期からお世話になっており、Find Jobの使用の際にさまざまな意見を述べたり利用させてもらったこともあった。対応も極めてよかったのを記憶している。mixiにも加入し、多種多彩な活用をさせてもらっている。

そういう親しみ深い会社なだけに今回の件を通して、「一生懸命創ったスポンジケーキを電子レンジでかけて後は完成を待つだけと、わくわくしながから眺めつつ待ち続け、チンという完成音と共にフタを開けて中身を見てみたら、容器の中にはしぼんだガチガチのフォークも通らないようなスポンジケーキのようなものが入っていた」という思いが心に到来し、少々寂しさを覚える今日この頃である。

※指摘を受けて、やりとりの文中において手元のメモを元に大意が伝わるよう一部修正を行いました。また「一般論で責めるのはどうよ」という意見もありましたが、これはあくまでも当方が株主などのような、「単なる一個人投資家を超えた」の立場にはないがゆえ、そして個人的感情論でやり取りしても意味が無いと判断してのものです。

もちろん当方の、mixiに対する想いはそれとは別に存在しています。その想いは電話の向こう側に伝える必要のあるものではないですが、ここで述べる分にはかまわないのではないか、という判断から今回はこのようなしめ方をさせていただきました。

誤解を受けている面もありますが、今回の問合せの際には当方の身分と本名を相手方に伝えたことも合わせてここに表しておきます。「格好よく攻めてよ」なんて無茶いわんで下さい(笑)。

■関連記事:
【mixi(2121)上場、目論見書を少々チェックしてみる】
【SNSサービスを提供するmixi、マザーズ市場への上場決定】
【繰り返される「まただまされたわけだが」的新興企業たちの下方修正と、連れ安している実力銘柄】

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...

スポンサードリンク



 


 
(C)JGNN||このサイトについて|サイトマップ|お問い合わせ