mixi(2121)上場、目論見書を少々チェックしてみる

2006年08月16日 12:30

Mixiイメージ先に【SNSサービスを提供するmixi、マザーズ市場への上場決定】でも報じたように、日本最大のSNS(ソーシャル・ネットワーキングサービス)【mixi】を運営する【ミクシィ】が、9月14日に東証マザーズ市場に上場することが決定した。『NIKKEI NeT』などに掲載された記事や【目論見書】などから概算するに、公募価格が1取引単位あたり155万円前後と手が出せない高値なので少々凹んでいたが、せっかく目論見書をダウンロードしたのだからといくつかチェックをしてみた。

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「会員500万人突破」「日本一の規模に」「会社名もSNS名にあやかったものに変更」と、何かとmixiに関する期待が高まる情報が相次ぐmixiだが(ああややこしい)、目論見書にある売上データを見ると意外なことが分かる。

mixiの売上構成比
mixiの売上構成比

表上の「インターネットメディア事業」とはずばりmixiのこと。そしてインターネット求人広告事業とは求人広告サイト【Find Job】での売上を指す。伸び率こそFind Jobの26倍という驚異的な値を示しているものの、売上構成比からいくとmixiのそれはFind Jobの半分程度でしかない。仮に「会員500万人」がすべて単独アカウントだったと仮定すると1人あたり128.2円しか売上をあげられていないことになる。ちなみに2006年3月期の業績は売上高が18億9300万円、経常利益が9億1200万円、純利益が5億7600万円。

また、支出の部を見てみると、今のところ経費は(IT企業ならではの構造だが)比較的少なく、典型的な「お金持ち状態」「お金の使い道に困ってる状態」にあるように見受けられる。極端な話、Find Job部門だけでも十分やっていける状況にあり、mixi部門では多少無茶なことをして色々「実験すること」も不可能ではない。

これらの情報を見てみると「市場から資金を集めるためのわざわざ上場することもないじゃないか」と感じる人もいるだろう。ただ、これから1人あたりの売上を増やしていくことで莫大な事業拡大を狙えるmixi部門を注目してみても、今後[ヤフー(4689)]による【ヤフーDAYS】【MySpace】([ソフトバンク(9984)]が提携して日本で展開するとの報道あり)、携帯電話分野でも【KDDI(9433)】【グリー(GREE)】と提携して携帯向けSNSを推し進める状況にある(【リリース】)など、先行きがバラ色というわけでもない現状を踏まえると、「打てる手は打てるうちに打っておく」という意味では、上場時期としては今が最適かもしれない。

また、投資家としての立場から考えると、ポジティブな話題が相次ぎ、市場が比較的堅調とされている今、上場して持株を売り抜けるには的確なタイミングであるに違いはない。先の目論見書からストックオプションの発行価額(10万~20万円台がメイン)を見るにつけ、ここが売り時としてmixi側に「助言」をするのもむべなるかなというところだろう。

創業者利益という意味ではストックオプション云々などはしかるべきものではあるのだが、結果として市場を食い物にしてしまうような結果に陥ることのないよう、心がけてほしいものだ。


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(最終更新:2013/08/26)

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