繰り返される「まただまされたわけだが」的新興企業たちの下方修正と、連れ安している実力銘柄

2006年08月15日 07:30

株式イメージ【IT media】のコラムにおいて、新興企業が上場直後に業績の大幅下方修正を行うという、以前は見られなかった現象が相次いでいることが指摘されていた。そして、市場と投資家を軽んじる行為ではないかとした上で「上場企業、証券取引所、主幹事証券会社それぞれに責任はあるが、証券会社の責がもっとも大きいのではないか」と断じている。

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コラムではまず東京証券取引所が上場基準を厳しくする方向で動いていることを挙げ、その上で「現状では新興市場を中心に上場直後に業績の大幅下方修正を行う企業が相次いでいるので、もっとちゃんとしましょう」ということだと分析している。さらに個人的にはと前置きしながら「上場させてしまう主幹事証券会社の責任がもっと追及されてもいいのではないか」と述べている。

詳細は参照元記事で確認してほしいが、要は「証券会社にとって株式公開の主幹事証券になるのは重要な業務だし、大きな利益をあげられる稼ぎ頭でもある。そして同じ稼ぐのなら期間が短い方がコストパフォーマンスが高い。だったらまだ未熟でも上場させてしまえばいい。その直後上場企業の義務とされている、精査した業績を発表させて結果として大幅下方修正となっても仕方が無い」という思惑が証券会社にはあるのだという。

本来証券会社には上場候補企業を詳しく調べ、上場に値するかどうかを判断する引き受け審査の必要・義務がある。ところが最近では主幹事候補となる証券会社が増え競争となった。そして、証券会社によって判断基準が違うため、「上場しやすい証券会社に主幹事をお願いする」というパターンも出てきてしまい、結果として証券業界全体の引き受け審査のレベルが下がってしまった。

結果として「本来そんな低レベルな業績ならそもそも上場できるはずないではないか。高い公募価格で株式を公開して、会社の資金増強や創業者のふところに収める金を売り抜ける形で市場から吸い取り、その上で大幅下方修正をしたのだろう。あるいは空売りまでやっているのではないか。証券会社と企業のこんなタッグでは個人投資家はかなうはずがないぞ」と疑われても仕方の無いような事例が相次いでいるというわけだ。


今回のコラムには、まったくもって同意せざるを得ない、という人も多いだろう。昨今、特にライブドア(マネックス)ショック以降、新興銘柄の回復が鈍く、中には低迷どころか下落スピードが加速している新興銘柄もちらほらと見受けられる。今回指摘された話以外にも、大幅下方修正の公告直前になぜか大量の売り抜けが相次いだり、株主を無視するかのような大量のMSCBを発行するなど、新興市場そのものへの不信感を高めるようなことが相次いでいるのが原因といえる。

ポジティブに考えれば市場がそれだけ冷静に、銘柄毎の「良し悪し」を判断できるようになってきた、ということだろうか。株価が実情を反映する良い例でもあるといえよう。

個人投資家の立場からすれば、このような「化けの皮がはがれた新興銘柄」に引きずられる形で「新興銘柄というだけで連れ安してしまった、実力派新興銘柄」を探し出し、底値で拾う冥利が生まれてきたと考えることもできる。チョイスは難しく、しかも労力を必要とする。が、そのような「お宝銘柄」を見つけた際の喜びと、そのお宝が真の評価を受けるようになったときのリターンは、すばらしいものがあるだろう。

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