教育熱心か家計圧迫か・教育費全体の私費負担比率、OECD各国で日本は第三位に

2008年09月10日 12:00

家計簿イメージ経済協力開発機構(OECD)は9月9日、加盟各国の教育に関する各種調査データを発表した。それによると日本の2005年における教育機関への教育支出のうち、公財政支出が占める割合の低さ、言い換えれば私費負担比率の高さはOECD主要国中韓国・アメリカに次いで第三位であることが明らかになった。特に高等教育における家計負担の高さは過半数に達し、データが存在するOECD加盟国中では最大の値を示している(【発表リリース、PDF】)。

スポンサードリンク

調査対象はOECD加盟国のうち関連するデータを算出している国が対象。一部の国では統計を取っていない国などがあったため、完全にデータが算出できた26か国を対象にした。教育機関への支出のうち、公財政支出と私費負担の割合、言い換えれば「どれだけ家計負担で教育費を払っているかの割合」をグラフ化したのが次の図。

教育支出における私費負担の割合
教育支出における私費負担の割合

先の【日本の公的機関による教育費、OECD28か国中最下位に】でも上位に名を連ねていた北欧諸国が「公財政支出の割合が高い」国として上位に並んでいることが分かる。つまりこれらの国は「国が積極的に教育機関へ公金を投じているため、GDP比でも高い値を表し、国民・家計の直接的負担は最小限に抑えられている」ことを表す(結局は税金からまかなわれるのだから、「間接的」な負担はそれだけ増えることになる)。

一方で日本やアメリカ、イギリスなどの先進諸国は比較的割合が低い。これは「公財政支出が低い」「私費負担を積極的に行っている」の双方が考えられる。先の「日本の公的機関による教育費、OECD28か国中最下位に」のグラフと比較して、GDP比における公財政支出の教育費が高いにも関わらず、こちらのグラフで公財政支出の比率が低い場合、それ以上に各家庭が教育熱心であることが想定される。

日本の場合はGDP比における公財政支出の教育費割合は低く、教育支出全体に占める公財政支出の割合も低い。この場合、「公財政支出の額そのものが低く、その分(あるいは不足分以上)を私費負担でまかなっている」と考えるのが妥当である。言い換えれば、「日本の家計において教育費の負担はかなり重い」ということ。それがそれぞれの家庭が積極的に負担しているか否かは別として。

ちなみに私費負担のうち奨学金などを除いた、純粋な家計負担が占める割合は次の通り。日本が韓国についで第二位となっている。

教育機関に対する支出のうち家計負担のみ
教育機関に対する支出のうち家計負担のみの割合

【成長に 実感無くして 不安増え 焦りも増える 教育ママさん】【子育て夫婦が物価高で削るもの、最初に外食、次に趣味・教育費は……】【ぜいたくは 敵だとばかりに 切り詰める 外食ガソリン美容に ファッション】にもあるように、日本の家庭でも教育への投資熱はきわめて高く、不景気な中でも額はむしろ増える傾向にある。これは公的支援の額が減らされつつある(教育費が高くつく)のと共に、積極的に教育への投資を行う(塾に通わせる、教材を購入するなど)ことによるものだろう。

教育は、ただ単にお金を使えばよいというものではない。とはいえ、無いよりはあった方が良いこともまた事実。数日、数週間の単位で成果が見られない、気の長い「投資」ではあるが、これからも教育への投資はますます盛んになり、家計に占める割合も増加することだろう。


(最終更新:2013/08/03)

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...

スポンサードリンク



 


 
(C)JGNN||このサイトについて|サイトマップ|お問い合わせ