成長に 実感無くして 不安増え 焦りも増える 教育ママさん

2008年03月23日 12:00

教育イメージ【ベネッセコーポレーション(9783)】は3月21日、首都圏で小中学生の子どもを持つ母親に対して行なった、しつけや教育に関する意識・実態調査「子育て生活基本調査」の結果を発表した。それによると前回調査時と比べて、子どもの教育に関して母親が持つ不安の度合が高まる一方、生活習慣などにおいて成長を実感できる機会が減っていることが明らかになった。「ゆとり教育」が見直しを求められる中、母親(保護者)の間にも教育面で関与を強め指導をしていきたいという思いも見受けられる(【発表リリース】)。

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今調査は首都圏(東京・埼玉・千葉・神奈川)の小学生・中学生の子どもをもつ保護者を対象に、学校経由による質問紙を用いて行なわれたもので、1998・2002年に続き今回発表された2007年9月のもので三回目。回答数は今回が7282名分(過去二回も4718名・6512名と比較的多い)。子どもの学年別構成比は中学が3127人分、小学が4055人分。

学問で「世間の流れに乗り遅れないように」「塾に通わせないと不安」増加中

家庭の教育方針では調査年を経るに連れ回答率が高まっており、教育に対する関心度が上昇していることが分かる。

家庭内教育方針(一部)
家庭内教育方針(一部)

世間の流れに耳をすませ、学校の勉強だけでは不安になり、習い事が欠かせないと考えている保護者は確実に増えているようだ。一方で放任主義とも受け止められる「勉強のことは口出ししない」という回答数は年々減少。1998年と比較して10%近く減っている。

また、教育に対する不安や期待を反映するかのように、教育費の支出も増加中。この10年間で平均して1000円強のプラスとなっている。物価上昇率を勘案しても、金銭面でも傾注度が増していることが分かる。

教育費の推移
教育費の推移

図表は略すが当然のことながら学年が上がるにつれて教育費は上昇する傾向にある。ただし中学受験をさせる家庭とさせない家庭の間には平均で4倍以上の差があり(中学受験をさせる予定の小学5・6年の平均教育費は4万6931円、受験させない場合は1万1698円)、「お受験派」で特に支出が増えているようすもうかがえる。

生活習慣で「自立心が低下!?」との懸念高まる

学問面で保護者が子どもに対する傾注度を高めて努力する様子が見えてくる一方、生活習慣や自立の状況では、ある意味で学問以上に不安を抱えていると受け止められる結果が出ている。

生活習慣や自立の状況について全体として満足しているか
生活習慣や自立の状況について全体として満足しているか

個別項目においても「起床就寝」「食事のマナー」「約束を守ること」など人間生活上欠かせない「一人でできなければならない基本的なルール」において、2002年度調査と比べると2007年度は誤差にしては大きすぎる数字で減少している。

さらに気がかりなのは、「子どもの成長を感じる」という回答だけでなく、保護者自身が「子どもを持つことで成長したと感じている」回答も以前の調査と比べると低下していること。

子どもや保護者自身の成長について
子どもや保護者自身の成長について

子どもへの成長実感だけでなく、保護者自身も「成長した」という実感、達成感を得る機会が減っており、これが保護者に子どもの教育に関する焦りを募らせている原因かと思われる。


今後はテストの結果や受験の可否といった数字として明確に現れる学力はもちろんのこと、生活習慣をはじめとした「一人前の人間」としての振る舞いを子どもが身につけるよう、学校だけでなく保護者もあわせた周囲環境が関わっていく必要がある。

ただしあまりにも綿密に関わりすぎると逆に「自立」という観点ではマイナスに作用してしまうかもしれない。先の「ゆとり教育」が単なる「放任主義」とも受け止められ、学力の低下を招きかねない結果となってしまったように、大きくぶれ過ぎないような注意も必要だろう。

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