高齢者もケータイでネット世界にダイブする

2008年07月18日 06:30

モバイルイメージ総務省は7月12日、2008年度版の情報通信白書を発表した。それによるとここ数年来のインターネットの普及状況において、高齢者へのネット普及には携帯電話が大きな役割を果たしていることが明らかになった。アクセス環境を整備するまでのステップが、パソコンよりも気軽であることが大きな要因であると思われる(【発表ページ】)。

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情報通信白書とは総務省が毎年日本の情報通信の現況や情報通信の政策の動向について、国民の理解を得ることを目的として作成する統計資料。政策決定の材料としても用いられる。

すでに【2007年末のインターネット普及率は69.0%・8811万人】【携帯電話のみでネットをする人の割合は11.3%】で触れているように、2007年末におけるインターネットへのアクセス人口は次の通り

・インターネット全体……8811万人
・携帯電話(やPHSなど)を利用(単独、重複問わず)……5993万人
・パソコンを利用(単独、重複問わず)……7813万人
・携帯電話のみの利用……992万人
・パソコンのみの利用……1469万人


インターネット全体の利用者層の増加過程で、年齢階層別では特に壮年層(高齢者)の伸びがいちじるしいことはすでに解説した。そこで、パソコンにおけるブロードバンド利用率と、携帯電話の利用率の両方において、50歳以上のデータを抽出してみることにする。

パソコン上のブロードバンド利用率の変移(2004年末と2007年末の差異)
パソコン上のブロードバンド利用率の変移(2004年末と2007年末の差異)
携帯電話によるインターネット利用率の変移2004年末と2007年末の差異)
携帯電話によるインターネット利用率の変移2004年末と2007年末の差異)

インターネット全体において「高齢者の利用率の伸びが大きい」という結果が出ていることから容易に想像がつくように、パソコンのブロードバンド・携帯電話上それぞれにおいても大いに増加していることが分かる。

この2つの表から導き出させる推論は次の通り。

・ブロードバンドの利用率よりも携帯電話の利用率の方が高い(※パソコン上のネット利用者には未だにナローバンド利用者も少なからずいる)
・3年間の利用者の伸びは60~64歳まではブロードバンドの方が高いが、65歳以上になると携帯電話の方が高くなる


今や60歳~64歳でも3人に1人は携帯電話でインターネットへアクセスする時代。定年退職前後の人たちにとって、携帯電話がインターネットのアクセスの良い窓口として普及しつつあるようすがうかがえる。

ケータイはそれ単体で
ネット世界に飛び込める

パソコンよりはるかに楽

ハードルの低い
「ネット世界」への窓口

特に65歳以上のネット利用者の増加率が携帯電話経由で増加しているのは、冒頭でも触れたように「パソコンと比べて事前準備が少なくてすむ」からだろう。パソコンの場合はゼロからはじめるとなると、回線の下準備(自宅に整備されていなければ回線工事から)にはじまり、パソコンの購入とセット、回線のパソコンへの接続、ソフト上の調整など細々とした準備が必要。よく分かる人が作業をしてくれればよいが、利用開始後のメンテナンスも考えると、敬遠しがちな気持ちも分かる。

一方携帯電話を用いたネットアクセスは、基本的に携帯電話そのものの契約をしてしまえば、携帯電話自身の利用だけで事が済む(もちろん電波が受信できる場所にいる必要はある)。回線の設定や別の周辺機器の購入、ブラウザの設定など面倒な作業は必要ない。アクセスするサイト単位での調整や手続き、操作方法を覚える必要はあるものの、その手間はパソコン経由とて同じこと。

以前【携帯しか使えないと「下流」なの? 「下流携帯族」論にダウト!?】のように、「携帯電話でネットにアクセスするのはパソコンを使えるスキルや資産が無いからだ」と断ずる論調がちまたを騒がせた。しかし高齢者の動向を見る限り、むしろ逆転の発想・ポジティブシンキングな観点で「携帯電話は簡単にネットの世界へ足を踏み込める、ハードルの低い素敵な情報端末」と見なした方がよいのだろう。


(最終更新:2013/08/04)

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