24時間営業コンビニのニーズはどこに!?

2008年06月02日 08:00

深夜のコンビニイメージネットコミュニティの【マイボイスコム】が5月25日までに発表した調査結果によると、週一以上のペースで24時間営業店に深夜来店する人はわずかに13.7%に過ぎないことが明らかになった。また、現在深夜に訪れる24時間営業店の大部分はコンビニやスーパーマーケットであるものの、ニーズとしてはコンビニと肩を並べる形で「病院や薬局」「ATM」も上位を占めていることがわかった。コンビニの24時間営業スタイルの再考が求められている中、消費者が求める「24時間営業店」の姿を見つめなおす必要があるのかもしれない(【発表リリース】)。

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今調査は5月1日から5日の間にインターネット経由で行われたもので、回答者数は1万4350人。男女比は46対54で年齢階層比は30代がもっとも多く38%、次いで40代の29%、50代以上の16%など。

深夜を午後10時から翌朝の午前5時と定義した場合、深夜営業の店舗を深夜にどの程度の頻度で利用しているかたずねたところ、「訪れない」「月に1回以下」という「ほとんど利用しない」派が7割を占める結果となった。

深夜営業の店舗を深夜にどの程度の頻度で利用しているか
深夜営業の店舗を深夜にどの程度の頻度で利用しているか

「定期的」と解釈できる「週一以上」はわずかに13.7%。ニーズがないわけではないが、(当然ながら)日中と比べて利用者・利用頻度共に深夜帯は少ないことが分かる。

具体的に利用する24時間店舗は「居酒屋」「バー」など特殊店舗を除けばやはり「コンビニ」がもっとも多く9割近くを占め、次いで「スーパーマーケット」の順。またその理由も「購入したいものがある」「急な必要に迫られて」など、特定の目的意識をもった上で「あえてその時間帯に発生したニーズを充足するために」であることがほとんどを占めている。

24時間店舗の代表格は「コンビニ」「スーパー」ということだが、逆に「(24時間営業でなくて)閉まっていて困った経験がある施設・店」をたずねたところ、「薬局・薬屋・病院などの医療関係」「ATM」が大きな割合を占めていた。

深夜に閉まっていて困った経験がある施設・お店(一部抽出)
深夜に閉まっていて困った経験がある施設・お店(一部抽出)

「困った経験はない」という回答が過半数を占める一方で、「医療関係」「ATM」という、「病気」「お金」の2要素が上位を独占しているのが分かる。深夜帯ぎりぎりに振込み手続きをしても実際の振込み作業は営業時間中になることを考えると、ATMは「手持ちの現金が無くなって明日身動きが取れない」「朝一で入金するよう手続きしておかないと振り落としに間に合わない」という特殊事情があるものと思われる。

一方医療関係は当然「けがと病気は時と場所を選ばない」。突然発熱や体調不良を生じる可能性は誰にでもある。119番で救急車を呼ぶほどではないにしても、常備薬では対応できそうに無いという状況を考えると、病院はもちろん薬局やドラッグストアも24時間フルタイムで開いていれば頼もしい存在となる(病気・けがでなくとも例えばゴキブ(ぴー)を目撃した場合、すぐにでもスプレーやホイホイを買う必要に迫られることもあるだろう)。

「困った経験がある店」は、そのまま「今後深夜に利用したい店」でもあるようだ。「必要は発明の母」ではないが、「必要は新しいビジネスの母」ということ。

今後深夜に利用してみたい24時間営業店(上位のみ抽出)
今後深夜に利用してみたい24時間営業店(上位のみ抽出)

「困った店舗」と比べて票が分散しているものの、やはり上位には「ATM」と「医療関係」がほとんどを占めた。「コンビニ」は既存の店舗がすでにニーズをカバーするものとして存在しており、「現状維持」で良い。むしろなぜ多くのコンビニにATMがあるにも関わらず、「銀行や郵便局にあるATM」が求められているのかを考える必要がある。手数料の問題か、あるいは場所なのだろうか。仮に前者であるとすれば、手数料の軽減・無料化によって、この層の相当数をコンビニ(の深夜帯)に呼び込むことができる。

また、医療関係の施設については「利用してみたい」の前に「利用しなければならない状態になったら」という前提がつく。病院や薬局、ドラッグストアに深夜足を運ぶ理由は、病気やけがなど身体上の問題が発生した時。出来ることなら、利用せざるを得ない状況そのものに陥りたくは無い、というのが本音だろう。逆に、だからこそ「もしもの時」の際に、フルタイムで対応してくれるこれらの店舗は、頼りになる存在となりうる。


24時間フルタイムで開店している店、特にコンビニエンスストアは、利用者にはありがたい存在。店舗側でも「1日の」利用客を増やすという意味では開業時間が長い方が良い。ところが時間ごとの集客効率や、店舗側の負担を考えると、深夜帯営業はデメリットの方が多くなる場合もある。そしてその結果、コンビニでありながら24時間営業を取りやめるところも増えている(【ローソン(2651)、オーナー高齢化で24時間営業を一部店舗で廃止へ】【ローソン、サテライト店舗の展開と「以前から非24時間制を導入」と説明】)。

一方、今回の調査からは「ATM」と「医療」が24時間営業店舗の重要なキーであることも把握できる。コンビニにお医者さんを常駐するわけにはいかないし、薬の販売も医薬品関連の法律との絡みもあるので難しい。しかし「ATM」においては、銀行や郵便局などに奪われているニーズを呼び寄せる可能性もあることが分かる。【「月一以上で利用」4割近く、「平日夜が便利だね」・コンビニATMはもはや欠かせない存在に】などもそれを裏付けるデータだろう。

低迷が続くコンビニ業界の現状を打開するためには、ATMが大きな鍵となるかもしれない。また可能ならば病院やドラッグストアとの連携もヒントとなることだろう。前者についてはコンビニを「通常スタイルエリア」と「ATMや自動販売機エリア」に分割し、(店舗側の負担が大きい)深夜帯は「通常スタイルエリア」のみシャッターを閉めて「ATMや自動販売機エリア」のみで営業を行うという新スタイルの店舗もありではないだろうか。


(最終更新:2013/08/05)

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