バフェット氏の会社バークシャーの第1四半期はデリバティブの損失で64%の減益

2008年05月04日 12:00

株式イメージ世界的に著名な投資家であるウォーレン・バフェット氏がトップの投資会社バークシャー・ハサウェイは5月2日、第1四半期決算を発表し、同期の利益が9億4000万ドル(940億円)に留まったことを明らかにした。前年同期の約26億ドル(2600億円)から63.8%の減益となる。バークシャー側ではデリバティブ関連の含み損を、時価会計の仕組み上損失として計上しなければならないことからこのような大規模減益となったと説明している(【発表リリース、PDF】、参照【Financial Times】)。

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リリースなどによればバークシャーの第1四半期決算概要は次の通り。

・総利益……9億4000万ドル(25億9500万ドル)
・投資及びデリバティブの利益……-9億9100万ドル(3億8200万ドル)
・営業利益……19億3100万ドル(22億1300万ドル)

※()内は2007年度


特に損失額が大きかったのはデリバティブ関係の損失。16億ドル(1600億円)にものぼるこの損失は、確定損ではなく「含み損状態で時価会計の仕組み上損失を計上しなければならなかった」と説明している。中でもS&P500種指数・その他の3海外株価指数に伴うプットオプションに関係する含み損12億ドルが含まれている。

また、先に【「ウォーレン・バフェットの憂鬱」】で「分割された価値を全部チェックするのは無理だから手を出さない」としていたCDS(Credit default swap(クレジット・デフォルト・スワップ))に関する損失(こちらも含み損の損失計上)も相当額に登っているのが分かる。

当方(不破)は先日、長期保有していた銘柄を一つ、含み損のまま売却してしまった(もちろん日本株)。その企業がデリバティブの一つ・通貨スワップによる巨大損失を発生させて、目も当てられない状態になってしまったのがその理由。デリバティブは本来、現物取引における相場変動リスクを回避するために開発された金融商品であったはず。しかし昨今ではオプションやCDS、スワップ取引など、そして時価会計という仕組みによって企業そのものが振り回されている。今回のバークシャーの決算もその類だろう。

「(既存のルールが)想定しない市場展開」に市場が襲われているのか、あるいはデリバティブなどの金融商品が暴走し、従来の存在意味から逸脱しつつあるのか。じっくりと考えるべき時期に来ているのかもしれない。


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(最終更新:2013/08/06)

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