バフェット氏、モノラインに85兆円の再保険を提案

2008年02月13日 06:30

バフェットの投資原則イメージ【ロイター通信】などが伝えるところによると、アメリカの著名投資家ウォーレン・バフェット(Warren Buffett)氏は2月12日、金融保証会社(モノライン)3社に対し、8000億ドル(85兆6000億円)の地方債に関する再保険を申し出たことを明らかにした。自身が率いる投資会社【バークシャー・ハザウェイ(BERKSHIRE HATHAWAY)】が再保険を引き受けることになる。CNBCとの電話インタビューの中で明らかにした。これを好感しアメリカ市場は大きく値を上げる展開を見せている。同社サイトには今件についてまだ正式な発表は見られない。

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複数の報道によるとバフェット氏はCNBCとのインタビューの中で、バークシャー・ハサウェイが【MBIA】【アムバック・フィナンシャル・グループ(Ambac Financial Group)】【フィナンシャル・ギャランティ・インシュアランス(Financial Guaranty Insurance)】の3社に対し、地方債の再保険を申し出た(信用の再保証)ことを述べたという。2月6日にニューヨーク州のディナロ保険局長にあてた書簡で提案を行なったとコメントしている。

3社は格付け会社から格下げ(例えばフィナンシャル・ギャランティ・インシュアランスは1月31日にS&Pから、格付けを従来のAAAから2段階下のAAに下げられている)を受けたことで資本増強か破たんの選択を迫られるような窮地に追いやられており、大手ファンドや金融機関による資本投入が噂されていた。

一方バフェット氏の動向はといえば自分が設立した金融保証会社以外には金融保証部門に投資はしないと報じられる一方、【現金抱えた大手投資家達がアメリカ市場を「買い場」と判断!?】にもあるように残りの手持ちの現金を使う機会をうかがっているようすが見られていた。今件はその「使い道」の一つに該当したと同氏が判断したものと思われる。

元記事によれば提案を行なった3社のうち1社は提案を拒否、2社はまだ未回答とのこと。具体的にどの会社なのかは明らかにされておらず、また3社のコメントは今のところ無い。(【Forbes.com】によれば拒否したのはMBIAとされている)さらにバフェット氏は一層リスクの高い債務担保証券(CDO)などには手を出さない方針とのこと。

仮にモノライン各社がバフェット氏の提案を受け入れるとなれば、リスクの一部をバークシャー側に移転できるため、約80億ドル(逆算すると1%のリスクを計算していることになる)の資本が自由になる。しかしその一方、CDO関連の損失はそのまま残り、比較的低リスクの地方債の保証からの収入が減ることになるため、収益全体としてのリスクが高まる可能性がある。

今件についてニューヨークのディナロ保険局長は「地方債発行サイドと投資家を保護するこのプランを嬉しく思う」とコメントしている。また、バークシャーはCDOには手を出さないなどと言及しているように、モノラインそのものを救済するというよりは、地方債発行サイドと投資家を保護することに関心を寄せていることに注意する必要がある。

地方債はアメリカでは日本以上に個人投資家などに人気が高く、それを保証しているモノライン各社の経営が悪化すれば市場にさらなる悪影響を及ぼす事は明らか。それらがバフェット氏・バークシャーの再保証で安定化されれば、市場の混乱が避けられる可能性は高くなる。また、今回の報道を受けてアメリカ市場は金融信用不安後退のきっかけになるのではないかと好感。大きく値を上げて推移している。

サブプライムローンに続く金融不安をもたらすキーワードとして急浮上してきた「モノライン」不安については、終息に向かう可能性が見えてきたことは評価したい。今件に対する3社のリアクションを注意深く見守りたいところだ。


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(最終更新:2013/09/07)

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