『涼宮ハルヒの憂鬱』は同名を冠するアニメが大ヒットし、収録作品が逐次DVD化され、さらに登場キャラクタのイメージソングCDも続々発売された作品。アニメは元々お気軽に読めるライトノベルの作品ということもあり、受け入れる層は幅広かったが、それに加えて有名声優陣の起用、アニメ化された際の画質や動きのクオリティの高さ、設定や描写の細かさが多くのアニメファンの支持を受け、大ヒット作品となった。そしてアニメのヒットと共に小説のセールスにも拍車がかかり、ライトノベルブームにのる形でさらに大きく売り上げを伸ばし、角川の業績アップにも貢献している。

先日【「私は、ここにいる」アニメ版『涼宮ハルヒの憂鬱』第二期制作正式発表】にもあるように新聞広告一面でアニメシリーズ第二期の製作が正式に発表され、さらに話題性を集めるタイトルとなった一方、肝心の原作である小説は【「涼宮ハルヒの憂鬱」シリーズ最新刊「涼宮ハルヒの驚愕」、発売日が6月1日から「未定」に延期へ】で報じたように最新刊として発売予定の「涼宮ハルヒの驚愕」が当初発売予定の2007年6月1日から「未定」に延期され、続報すら途絶えたままの状態が続いていた。

今回確認された株主向けの配布資料によれば、2月から3月の範囲に「初春」という表記のもと、「文庫『涼宮ハルヒの驚愕』刊行予定」と明記され、2月以降3月前後に発売する「予定である」との角川側からの意思表示が行われている。従来「未定」とされていた同冊子について幅を持たせているものの、発売時期についてはっきりとした形で表現されたのは今年に入ってから延期後今回が初めて。

以前に一度発売日まで確定しておきながら「未定」となり半年以上音沙汰もなく経過していることや、物書きにとって作品は「時間をかければ必ず完成するものではない」ことを考えると、再び延期されるのではという懸念が頭をよぎる人も少なくないだろう。また、株主向けの資料の記述ということから「株主向けのリップサービスでは?」という可能性も否定できない。

とはいえ、具体的に発売時期が公式発表されたのは事実であり、「何らかの事情で発売日未定となってしまった作品の発売めどがたった」と考えるのが素直な推論といえる。多くの人をやきもきさせた延期の事情もおそらく「涼宮ハルヒの驚愕」巻末の、筆者からのあとがきに記載されるだろう。それもあわせて、正式な発売日決定などを心待ちにしたいところだ。

※追記:今資料は2007年年末までに配布されたこと、角川スニーカー文庫の2月刊行予定一覧には『涼宮ハルヒの驚愕』は確認されていないことが明らかになった。早くとも3月、あるいはそれ以降となり、さらに関係者を「驚愕」させるのかもしれない。

(最終更新:2013/09/07)

情報提供:みなみ ◆oKgOkbcgm.氏、Thanks!