日本にもいました 「戦車」を自作した戦車男

2008年01月07日 06:30

コンバインを改造した水陸両用装軌式強襲上陸車両AAVP7A1イメージ先日【意外に高速!? 「一人用ミニ戦車」後日談】でイギリス製の自家用レジャーミニ戦車の続報をお知らせした際に「日本でも作ってる人はいないだろう」という主旨のことを書いたところ、読者の方から有力な情報をいただいた。それによると日本でも厳密には戦車ではなく兵員輸送車だが、「戦車」を「戦闘車両の略称」と大意にとれば問題なし。ともかくそれを自作し、乗り回している人が実在するのだという。早速指示のあったブログを確認したところ、確かに日本にも「戦車好きが高じて改造・自作してしまった戦車野郎」は実在した。

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先の記事で当方が問いかけた文章は次の通り。

要は構造的には小型のキャタピラ駆動型農作業用キャリアーにハリボテをつけたようなものだから、日本で発売されているそれらの車両を改造すれば……ということだ。しかしお国柄というのもあるのだろう、日本で実際にそのようなものを作ったという話は聞かない(もしあったら教えてほしい)。


この時は「理論的には可能だが、恐らくはいないのでは。でもいたら楽しいし、面白いだろうな」という程度のものだった。読者投稿によって判明した、自作戦車(兵員輸送車)を完成させた人はこちら、【コンバインを改造した自作戦車】。こちらの人がタイトル通り、コンバインを元に兵員輸送車のミニモデルを完成させてしまっている。

ターゲットになったのはアメリカの水陸両用装軌式強襲上陸車両AAVP7A1(AAVPはAssault Amphibian Vehicle Personnelの略)。要は敵地へ上陸作戦を行なう際に歩兵を安全に運ぶため、装甲を施してキャタピラで走りやすいようにし、水上(さすがに水中は無理)も陸上も走れるようにした兵員輸送車である。3人の乗員以外に21人の兵員を運ぶことができ、主に海兵隊が利用している。4.1×1.8×1.7メートルの大きさを持ち平均時速12キロ(水上では時速7キロ)で走行。M2重機関銃とMk19・40ミリ自動てき弾銃を装備した砲塔を持つ。お値段は220~250万ドル(2億4000万~2億7000万円)ほど。

実物のAAVP7A1
実物のAAVP7A1

該当ブログをさかのぼってみると、1年前の2006年12月に【捨てられる直前の、しかしエンジンは生きているコンバインを発見】。これを元に左ハンドルに改造した上で、元々の足場を作成。そこから「何を作れるか」と考えた末、タミヤのプラモデルのカタログを元に「チョロQみたいになる」が【AAVP7A1】に決定。

そこからはほぼ完全なフルスクラッチ。プラモデルを元にフレーム作りから始まり、鉄板で装甲板部分を作成して溶接、キャタピラを別の廃棄コンバインから入手して取り付け、ホンモノの戦車用フックを購入して取り付け。

2007年の6月にはほぼ【車体が完成して】塗装や細かい調整に入り、7月には早くも走行中の動画を撮影してYouTubeに投稿している。


去年7月に投稿された自作兵員輸送車の動画

その後、【コンバインであるために「農機具登録」を行い】【お披露目を行い完成にいたっている】

完成後もちょくちょく改良を行ったり、あちこちのメディアに紹介を受けているようだ。また別の動画も掲載している。


林道を走るAAVP7A1

車庫から「出撃」。どれくらいの大きさか、よく分かる動画

去年末には戦車ファンの専門誌やNHKにも出演するなど大忙しの製作者。今度は【トミカからイラクで活躍した陸自の軽装甲機動車発売】でも紹介した、陸上自衛隊のイラク派遣の際にスポットライトを浴びた軽装甲機動車をフルスクラッチで作るそうだ(【決意の日記】)。今度は国内組織の車両の模倣となるので先のアメリカ海兵隊のAAVP7A1とは違ったハードルが生じそう。それでも、世界に誇れる戦車野郎を目指し、今後も頑張ってほしい。

日本にもここまでガッツのある人がいることにはただ驚きを覚えるばかり。個人的には大戦末期に試作された四式中戦車か五色中戦車あたりをフルスクラッチで作ってほしいものだが、足回り部分が難しいかな?


(最終更新:2013/08/18)

情報提供:某O氏(メール投稿)。Thanks!

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