「証券税制優遇措置は撤廃」民主党税制調査会会長断言・与野党協議も拒否

2007年10月02日 12:00

株式イメージ【NIKKEI NeT】が伝えるところによると民主党税制調査会の藤井裕久会長は10月1日、日経新聞とのインタビューの中で、2008年末にも期限が切れる証券税制に関する優遇措置について「延長せずに廃止する」よう求める方針を表明した。さらに今件について、与党自由民主党とは「いっさい事前に話し合う気はない」とも強調し、全面対決の姿勢を見せた。

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証券税制優遇措置は株価低迷を是正するために2003年に導入されたもので、従来20%である株式の譲渡益・配当益税率が10%に半減されているというもの。現状では譲渡益は2008年末、配当は2008年度末に廃止が決定している。

今件については自民党税制調査会や金融庁など証券各団体が存続・あるいはさらなる優遇措置への展開を支持している一方、公明党や政府税制調査会などは反対の意向を示している。一方野党民主党内部では「投資をしている人はお金持ちだから格差社会の象徴で打破すべき対象である」との意向からか【民主党、「株式売却益課税を30%へ」との考え】にもあるように、通常税制に戻すどころか増税すらしかねない雰囲気もある。

今回明らかになった民主党税制調査会の藤井裕久会長の談も、その意向に沿ったもの。事前の話し合いそのものを拒否していることから、「自分の意見が通らなければ参議院でありとあらゆる手を使って審議妨害をする」考えが見え隠れしている。

元記事によればその他に「道路特定財源の見直しでは、自動車取得税と自動車重量税をゼロに」「消費税の税収を基礎年金に充てる目的税化」などの案が語られている。ただ、例えば後者の「税金を年金に補充する」案ひとつをとっても、これまで支払ってきた人との不公平感の是正はどうするのかなど、疑問点は多い。そもそも年金問題は年金を運用する社会保険庁の運用のまずさと無駄使い(2004年の段階で給付以外に消えた保険料、つまり無駄使いされた額は「約5兆6000億円」と当時の坂口力厚生労働相が言及している)が一義的にあるのであって、そこを解決せずに税金を投入しても「底に穴が開いたままの風呂おけに新たに吸水ホースを追加する」だけにしかならない可能性が高い。

「お金持ちに見える投資家を叩けば」「年金が騒がれてるから国民の財布を痛め(ないようにみえる)税金を投入すれば」という、デマゴーグ的な内容でしかない政策展開にはあきれてものもいえないような気がしてならない。

ちなみに証券税制優遇措置については、延長反対派が主張している「金持ち優遇だから」「十分安いから」という説にはそれぞれ金融庁が【「証券税制優遇措置は金持ち優遇税制」に異論、金融庁資料から】【日本は譲渡益・配当益課税共に高い水準……国際競争力維持・強化のための「証券税制優遇措置継続」案】と具体的なデータを提示して反論している。このデータをどのようにくつがえし、理路整然とした正論で証券税制優遇措置の撤廃を主張できるのか、詳しく投資家をはじめとする国民に対し、ご説明願いたいものである。

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