JPモルガンが「行動ファイナンス理論」のサイトをオープン・関連投資信託も設定

2007年08月04日 12:00

【JPモルガン・アセット・マネジメント】は8月1日、マーケット心理を科学で証明しようとした理論「行動ファイナンス理論」に関するページをオープンすると共に、その理論を応用したファンド「JPMジャパン・ファンド(愛称:ココロジカル)」を設定した。この理論に基づいた日本国内公募投資の設定ははじめて。現在安藤証券やフィデリティ証券が販売中(【該当ページ】)。

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「行動ファイナンス理論」とは【松井証券(8628)、行動ファイナンスに関するデータ取得の無期延期を発表】にもあるように、「投資家は理論値・期待値などの数学的な計算結果に基づく合理的な結論のみで行動を左右されることはない」という前提に立ち、金融市場の現象を分析し予見する研究分野・理論。経済学に人間の感情論などを含む心理学を融合させたもので、ゲーム理論と通じるものがある。代表的な研究者でアメリカのダニエル・カーネマン氏が2002年にノーベル経済学賞を受賞してから特に話題に登るようになった。

同サイトでは「損を嫌って、損がふくらむ」など耳が痛くなるような事例をいくつも挙げて「行動ファイナンス」について説明が行なわれ、また「行動ファイナンス理論」に基づいた投資傾向診断を行なうこともできる。

「行動ファイナンス理論」及び「JPMジャパン・ファンド」サイトトップページ。
「行動ファイナンス理論」及び「JPMジャパン・ファンド」サイトトップページ。
投資傾向診断もできる。設問に答えていかに自分の投資判断が合理的かが分かる。
投資傾向診断もできる。設問に答えていかに自分の投資判断が合理的かが分かる。

今回設定された「JPMジャパン・ファンド」では、この「行動ファイナンス」に従った株式の組み込み・組み替えを行なう。例えば「固執」傾向の場合、アナリストが一度「上方修正」を出した企業は「従来の予想に固執しやすい」という傾向から何度と無く上方修正を繰り返すことから結果として「株価自身へも上昇の圧力につながる」としている。この投信ではそうした「アナリストの固執によって株価に圧力がかかる銘柄を取捨選択する」という方法も用いているという。

また「損失回避」(損失は確定するまで損失ではない、つまり「損切り」しなければ含み損で済み、損そのものではないという「シュレーディンガーの猫」的な発想)から、一度株価の上昇や下落が始まった銘柄はその傾向がしばらく続く傾向にあるため、株価が上昇する傾向にある銘柄を組み込む(要は単なる「順張り」なのだが)なども例としてあげている。

「行動ファイナンス理論」は人間の心理と株式の売買の関連性を表す、非常に興味深い理論であることに違いない。理論で語られている内容に多くの人が「うんうん分かる、合理的ではないけど、ついそのように判断してしまうんだよね」と同意してしまうだろう。ただし、その理論を用いている投信が好成績を挙げるかどうかは、具体的にどのようなルールにのっとって投信の運用に活かすにかかっている。要は理論そのものはもとより、その理論の活用の巧みさ次第であるといえよう。


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(最終更新:2013/08/20)

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