大証で金価格連動の投資信託が8月に上場決定

2007年07月18日 06:30

株式イメージ【大阪証券取引所(8697)】は7月18日、金の価格に連動するETF(指数連動型上場投資信託)を8月10日に上場すると発表した。金のETFは海外ですでに取引が行われているが、日本でははじめてのことになる。また、7月17日からは「金ミニ取引」が商品先物取引として売買がスタートすることもあり、金に対する金融商品が一挙に投資家の間で注目を集めることになりそうだ(【発表ページ】)。証券コードは1328が割り当てられる。

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大証ではすでに【大証(8697)、ETFに関する上場制度を見直し・外国株価指数、金や金利指標との連動ETFの上場も可能に】でお伝えしたように、これまでの日経225・300に連動するETFだけでなく、外国の株価指数や金、金利などの指標と連動するETFも上場できるように制度を変えていた。早ければ3月にも実際の上場が行われる予定だったが、多少ずれ込んだようだ。また、東証でも【東証も商品ETFを導入!? NYSEとの提携を機会に】でお伝えしている通り、貴金属ETFの導入が模索されており、今後多種多彩なETFが登場することが予想される。

今回大証で取り扱いが始まる金価格連動ETFは、【プレスリリース(PDF)】にもあるように、野村アセットマネジメントが管理運営する「金価格連動型上場投資信託」。ただし「金ETF」ではなく「金価格連動ETF」なのは、日本の法律では物品を直接裏づけにした投資信託ができないため。そこで海外の金融機関が発行する「金価格リンク債」(金の価格に連動する債券)をメインに組み込む投信として設定し「金価格連動ETF」として、上場が可能なようにした。

つまり今回上場するのは正確には「金ETF」で無ければ「金価格に正比例して連動するETF」でもなく「『金価格に連動する債券』をメインに運用を行うETF」であり、金には二重間接的に投資することになる。もちろん金そのものの裏づけがあるわけではなく、商品先物取引のように現引き(約定代金を商品会社に渡して商品の現物を受け取る方法)はできない。

対象となる指標は金1グラムあたりの円表示の金現物価格で、売買単位は10口。昨今の金相場から逆引きすると、大体2万6000円~2万7000円が最低売買単位となる。

今回の金価格連動ETFの上場に際して野村アセットマネジメントの柴田拓美社長は「金連動ETFの上場承認は、投資家の皆様の便利性の向上に寄与し、金融市場の自由化を促進する画期的な出来事。今後も魅力的な商品の開発に注力していきたい」と述べ、大証の米田道生社長は「日本で初めて金連動ETFの上場を承認できたことを非常にうれしく思う。今後も様々なETFを始めとして、投資家の皆様に魅力的な投資ツールを提供することによって、特色のある市場作りに取り組んでいく」と語った。

商品関連の金融商品には一歩も二歩も先んじている大証ならではの、今回の「金価格連動ETF」。日経平均先物の小口版「日経225ミニ」が個人投資家から多くの人気を集め、今年頭のルール改正から商品価格連動のETF登場が期待されていただけに、多くの人が「待ってました」と諸手を上げて喝采したに違いない。投資単位も10万円以下とお手軽で、日経225ミニ以上に注目されることだろう。

ただし「金価格連動ETF」では繰り返しになるが金そのものの価格と完全に連動するわけではないことや、価格変動リスクはもちろん為替変動の影響も大きく受ける可能性がある。売買には細心の注意が必要だ。さらに(当方は男性だが)老婆心ながら付け加えておくと、金価格はここ30年ほどの間でもっとも高い値をつけつつある。

金価格の変動(1975年以降)(FutureSource.comより)
金価格の変動(1975年以降)(FutureSource.comより)

30年間で最高値をつけた1980年代前半と世界情勢・金融市場情勢は大きく異なり、過去の傾向がそのまま当てはまるとは限らず、さらに上抜けする可能性も十二分にある(市場そのもの、特に需要の拡大が大きな要因)。とはいえ、天井感も否めなくはない。その点も考慮に入れた上で、金とは付き合うべきだろう。


(最終更新:2013/08/20)

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