ダウ社の買収問題でインサイダー取引の疑い

2007年05月06日 19:30

先日お伝えした【ダウ・ジョーンズがニューズからの買収提案を受けたがこの回答を保留・オーナー一族は拒否】した件で、買収提案を受けている【Dow Jones(ダウ・ジョーンズ)】に関し、インサイダー取引の疑いが持ち上がっていることが明らかになった。欧米の複数の報道機関が報じている。それらの記事によると、アメリカ証券取引委員会(SEC)などが調査を開始した模様。

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今件は【ニューズコーポレーション、ダウ・ジョーンズに買収提案。ダウ社の株価は2倍に急騰】にもあるように、買収提案が5月1日昼頃に明らかになって株価が暴騰した件に関係するもの。【Wall Street Journal】やブルームバーグなどの報道によると、発表直前の4月25日には3029枚の、発表前日の30日には4335枚のダウ社株式のコールオプション(特定商品を一定の価格で買う権利。対象商品の値上がりが予想される場合、安い価格で購入する権利だけを買い、行使日にその価格で行使して安値で買って実際の価格との差額を儲けることができる)が取引された。4月平均のコールオプション取引高は4月1日から20日までで309枚であり、その14倍(30日の場合)と急増していることになる。また同記事によると4月30日に取引されたコールオプションのうち3464枚までが、ニューヨーク市場が閉じる午後4時前の最後の11分間に取引されたとのことである。

証券取引を監視する団体の一つである【Meridian Equity Partners】のスタッフは今件について「小悪党の首根っこをひっ捕まえるために何日でも費やしてやる(I spend my whole day looking for the footprints of bad guys)。この取引はどうにも怪しすぎる(These trades look suspicious.)」とコメントしている。

また同じく【Wall Street Journal】の別報道によると、ニューズ社がダウ社に買収提案を書き記した書簡を送ったのは4月17日で、それ以降5月1日の報道まで今件は関係者以外知りえなかったはずであるが、17日当日に取引高が急増し、それに伴い株価も押し上げられているという事実がある。


書簡が送られた4月17日前後のダウ社の株価と出来高推移。「なぜか」4月17日だけ出来高が通常の3倍近くにまでふくらみ、それに伴い株価も上昇をはじめているのが分かる(4月16日は128万7400株、17日は279万6800株、18日は110万8000株)。

当然のことながら、日本同様アメリカでも、企業経営に重大な影響を及ぼす情報(いわゆるインサイダー情報)を知りえた関係者が、公表に先駆けて株式などを売買して利ざやを稼ぐことは証券取引法で処分される対象となる。

合併・買収そのものも非常に気になるところだが、それ以上に今件にからみ大規模なインサイダー取引の可能性が出てきたことで、注目度は倍増した、ともいえるだろう。続報に耳を傾けたいところだ。

(最終更新:2013/08/21)

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