10円まんじゅう狂想曲・全国に広がる10円まんじゅう、草もち・桜もちも登場

2007年03月22日 19:40

10円まんじゅう(夢菓蔵)イメージ先に【口休めに最適!? 1個10円の「10円まんじゅう」が売れているという話】【10円まんじゅう(夢菓蔵)】などで比類無き10円まんじゅうの世界をお伝えし、当方自身も十分に堪能して「これはまずい、いや美味しいんだが、はまると栄養制限の面でマズい」ということで自粛している最中なのだが、【日経トレンディ】にまたもや購入意欲をかきたてるような記事が掲載された。いわく、「急増! 10円まんじゅう」とのこと。あれだけ多くの店ができたというのに、さらに増えていくというのか。

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10円まんじゅうの大手「和ふ庵」と「小饅頭本舗」

「10円まんじゅう」イメージ元記事によると「10円まんじゅう」の店は首都圏で急増中であり、今は約50店舗だが年内には200店規模に成長、さらに全国に広まる可能性もあるという。1年で4倍の規模とは。恐るべし、10円まんじゅう。

「10円まんじゅう」でもっとも知名度が高い【和ふ庵】については、詳細なレポートが書かれている。まんじゅうのとりこになっている人も、なりそうな人もぜひ一読をおすすめする。「和菓子は元気がない時期が続いたが潜在力は大きい」「まんじゅうを敷居の低い存在にしたい」「低コストでの生産体制が確立するまで、赤字続き」など興味深いエピソードや、リピーターのおかげで利益が出るようになったことなどビジネスサイドでなるほど、とうなづかせる話もある。中には100個以上をまとめ買いする人もいるという。

「和ふ庵」に続く大手として紹介されているのが、【小饅頭本舗】。こちらは種子島産・沖縄産黒糖のこだわりがセールスポイントだという。元記事のキャプションには造型が今ひとつのものを「いまいちくん」と名づけて半額で売るときもあるという。5円まんじゅうとは恐れ入る。デフレ社会もこれできっと大丈夫。

10円まんじゅうブームの仕掛け人とは

元記事はさすが(こういうときだけ?)日経の記事らしく、突っ込んだ追及まで行われている。まず一つは、これだけ急に10円まんじゅうの展開が進んだのには「ある食品機械メーカーの存在」があるという。安価でまんじゅうを生産するのに欠かせない「包あん機」と呼ばれる機械。この機械を作るメーカーこそが仕掛け人なのだという。

そしてこの機械と原料の「基本セット」を購入することで、店側では低いハードルでこの「10円まんじゅう業界」に参入が可能となったというのだ。もちろん押しなべて同じ内容のものではなく、味や材料の微調整など、企業によって10円まんじゅうの味わいは異なる。

ちなみにこの「食品機械メーカー」がどこなのか、元記事では特定されていなかった。また、各10円まんじゅうメーカーのサイトにも記載はなく、結局分からずじまい。ただ、「包あん機」でもっとも有名なのは【レオン自動機】という会社のようで、もしかしたら……というのもある。ちなみにこの会社、和菓子業界としては革命的な「まんじゅう自動成型機」こと「包あん機」を世界ではじめて創ったところ。この機械の発明で、これまで手作りでしか生産できなかった和菓子の大量生産を現実のものとしたのだという(【参考ページ】)。

羽後国10円饅頭(まんじゅう)イメージさて、企業ごとのまんじゅうの違いを実感できるのが【元記事2ページめ】の下にある、取材先7社の10円まんじゅう一覧。これには思わず圧倒させられる。各社の10円まんじゅうの違いが一目瞭然。大きさや形、色、包み部分の厚み、あんこのつまり具合などが各社微妙に違うのが分かる。

ただ、どれもがどれも、あんこがぎっしりと詰まっていたのには驚いた。某コンビニの中華まんのように具がスカスカで腰砕けになる、ということは無いようだ。もっとも当方のように「あんこは好きだけど周りの包み部分も好き」という人には微妙なところだが。あとはそれぞれの重量が掲載されていたらパーフェクトだったのにと思うのは当方だけだろうか。

桜もちや草もちなど……他品種への挑戦

さて10円「まんじゅう」で競争が激化するとなれば、容易に想像がつくのが、他の和菓子での低価格化競争。そのあたりの考察も元記事では抜かりないようで、「抜かりない」二つ目に挙げられるのが、まんじゅう以外の新メニューに関する取材。

詳細は元記事を呼んで欲しいが、「和ふ庵」では1個約15円の桜もちタイプの「桜ふぶき」、他の店舗でも草もちタイプやよもぎ白糖二色まんじゅう、抹茶生地を用いた「茶まんテン」など、ミニサイズの和菓子ワールドがますます広がりそうな気配だ。

素人考えながら今後、きんつばやすあまなど、類似の和菓子でも「ミニサイズ・低価格」のシリーズが登場するに違いない。この傾向は、コンビニなどでよく見受けられる「小腹がすいた時にちょっとつまむ『大人のおやつ』」のニーズにもマッチしていることもあり、ますます強まることだろう。そして値段を下げることで、年齢的なハードルを下げ、多くの需要を得ることも可能となる。

「10円まんじゅう」のビジネスモデルは100円ショップ?

さて。以下は元記事にはまったく記載の無い、今回記事を執筆していくうちに気がついたこと。「10円まんじゅうって単価が10円とチープ。駄菓子屋みたいなものに見えるけど、ビジネスとして成り立つのかな」という疑問。これは、よく考え直してみると、実にうまい戦略を取り入れていることが分かる。

「和ふ庵」をはじめ多くの店頭販売スタイルの店では、一応1個10円から買うことは可能。しかし大抵の人は10個、20個とまとめ買いする。1口でぱくりと口に収まるサイズだから、1回のおやつ時に一人で10個は軽く平らげられる。大抵は50個、60個とまとめ買いするし、場合によってはそれ以上買われることだろう。お店側でも、セット販売が中心。20個、30個分をまとめて買って欲しいな、とさりげなく自己主張している。

通信販売ともなれば、先に紹介した『羽後国10円饅頭(まんじゅう)』のように、50個レベルの単位で販売しているものがほとんど。

ここがこの「10円まんじゅう」ビジネスの肝。単価が極めて安いにも関わらず、お客単価は数百円、恐らく500円以上になる。しかも買い取りだから客の回転率も高いし、お店の面積も狭くて済む。仮に1日500人お客が来るとして、一人平均50個買ったとすれば、

500×50×10=25万円/日
25×30=750万/月


となる。月商750万円をあの狭い敷地面積で稼げるとすれば、(原価の問題もあるが)なかなか商売としては販売効率が高い方といえる。

この商法はあの「100円ショップ」のそれに類似している。単価は安いがついついまとめて買い物をするため、客単価は高くなる。しかも「10円まんじゅう」の場合商品数も少なく店の面積も狭くて済む。お客の回転率も高い。実はかなり収益が上がる可能性が高いビジネスモデルを採用しているといえよう。


今後「10円まんじゅう」業界も競争の激化により、各店舗毎の個性も求められるようになるだろう。消費者側からみれば、そのような動きは楽しみが増えることに他ならず、新製品の登場が待ち遠しくもある。

「10円まんじゅう」バトルをきっかけに繰り広げられるかもしれない、低価格和菓子競争。今後どのような商品が提案されるのか、心ときめかせながら待ち続けることにしよう。

ちなみに「小饅頭本舗」は当方の自宅には店舗はなかったが、仕事場からならそこそこ歩けば行ける場所に一軒確認が出来た。機会があればチェックを入れて見る予定。自宅そばの「和ふ庵」が先になるかもしれないけど。


(最終更新:2013/09/02)

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