【更新】政府税調「証券税制優遇撤廃」を最終決定、金融相は「株価が下がるし三角合併で国益に反する」と反発

2006年12月01日 12:30

株式イメージ[YOMIURI ONLINE]によると総理の諮問機関である政府税制調査会は12月1日に安倍首相へ提出する税制改正答申の最終案で証券税制優遇措置について、予定通り2007年度中に撤廃することを求めていることが明らかになった。

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2007年末には株式の譲渡益に関する優遇税制が期限切れとなり、現状の10%から20%に戻る。また、株式の配当についても2008年4月から現状の10%の措置が無くなり20%に差し戻されることになる。これは預貯金などと同じ率。2003年に日経平均が9000円台を割り込んでいた時期に、株価対策として導入された。

答申の中では「株価が回復している」「所得格差への配慮」など、安倍総理が大好きな言い回し「格差」を用い、「廃止し、簡素で分かりやすい制度とすべきだ」としている。その一方、この答申による優遇措置撤廃で株価急落のようなネガティブな結果が生じても責任が問われないように予防線を張るつもりからか、「株式市場の無用の変動要因とならないよう工夫する必要がある」とも指摘している。

一方この答申に対し山本金融相は12月1日の閣議後の会見において、「優遇措置の廃止は株式市場から外国人投資家を排除することにつながり、株価が下がる」として反発を強めている([参照:asahi.com])。さらに外国企業が自社株を対価にして日本企業を買収できる「三角合併」が解禁されることとも関連させ、「株価が下がれば三角合併において日本企業が不利になる。これは国益にも反する」とし、企業防衛の観点からも証券税制優遇措置の撤廃に反対の意を表明した。

今回提出される答申はあくまでも答申に過ぎず決定ではないが、総理直属の諮問機関の答申なだけに、影響力は強いものと思われる。一方でこれだけの反発、警告がなされているのも事実。仮に答申通りに事が進んだ場合、撤廃反対派による指摘どおりの状況が生じた場合、しかるべき責任を取るよう、政府税調の参加者、中でも賛同者には覚悟を決めてほしいものだ。


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