インサイダー取引をした日経元社員に罰金600万円・追徴金1億1674万3900円の判決

2006年12月26日 09:30

株式イメージ【Mainichi INTERACTIVE】が報じたところによると、日経新聞社による法定公告を悪用したインサイダー取引事件で、証券取引法違反の罪に問われた日本経済新聞社東京本社金融広告部の元社員、笹原一真(かずまさ)被告(31)に対し、東京地方裁判所は12月25日、懲役2年6か月・執行猶予4年、罰金600万円、追徴金1億1674万3900円の判決を言い渡した。インサイダー取引の追徴金としては「日本織物加工」(現オリカキャピタル)の増資に絡む事件で元弁護士に科された約2600万円(2000年に確定)を超え、過去最高額となり、公明正大であるべき法定公告の場を悪用した事件に対する影響の大きさを浮き彫りにしている。

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青柳勤裁判長は判決の中で、「違法行為と知りながら2900万円もの利益を上げ、身勝手な動機に酌量の余地はない。市場への信頼を著しく害し、わが国有数の経済新聞社を舞台に行われた犯行で、悪影響は重大」と断じ被告を非難した。

なお検察側では笹原被告が繰り返し行った売却の価格総計を追徴金として求刑していたが、判決では元手が重複している部分は除かれて計算された。つまり、利益は2900万円だが、買い付けた株式の総計は9万4400株・2億4331万9900円。そして売り買いの過程で重複している分がのぞかれ、株式取引に使った資金と不正な利益の合計金額にあたる、追徴金1億1674万3900円が確定した。

当事件は8月11日に東京地検特捜部がインサイダー取引で3000万円の不正な利益を得ていたとして笹原一真被告(31)を起訴したもの。笹原元社員は担当でないにも関わらず公告管理端末を操作して株式分割で儲かりそうな銘柄の情報を取得。情報が公開される前に買いこんで、公開後に株価が上昇したところで売り抜け、3000万円ほどの不正利益を得たと当時は報じられた。

検察側は「笹原元社員はニッポン放送の買収に向けたライブドアの株価の動きを見て企業が新聞に掲載する情報に着目するようになった。5つの企業の株取引で2900万円の不正な利益をあげたのをはじめ、掲載の申し込みがあった情報を利用した取り引きであわせて9700万円余りの利益を得ていた」と指摘していたが、この利益額の主張は通らなかったようだ。

いわば「胴元が当選番号をあらかじめ見て具体的な番号を指示して宝くじを買う」ようなインチキ行為であるのが今回の話。果たして笹原被告一個人だけの行為なのか、多かれ少なかれ他の関連社員もしていたのかは明らかにされてはいない。日本経済新聞社では各種処分・再発防止策を打ち出してはいるものの、「他にも誰かやった、やってるんじゃないの?」という疑念は捨てきれない。信頼を回復するためには絶え間ない努力と謙虚な姿勢が必要になるだろう。

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