東京地検、日本経済新聞社社員をインサイダー取引容疑で逮捕

2006年07月25日 20:45

株式イメージ【NIKKEI NeT】などが報じたところによると、東京地検特捜部は7月25日、日本経済新聞社社員の笹原一真容疑者(31)を、公正取引等監視委員会の告発を受けて事情聴取をしていたが、25日午後、インサイダー取引容疑で逮捕した。本人は容疑を認めている。報道機関の社員によるインサイダー取引摘発は今件がはじめてのもよう。

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今件はすでに7月20日の段階で【公告盗み見で数千万の利益、日経社員のインサイダー取引疑惑】などでも報じられていたが、本日容疑が固まったとして特捜部側が逮捕に踏み切ったもの。

笹原容疑者は日経新聞社内の端末を自らの権限がないにも関わらずパスワードを盗み見て検索を行い、株式分割で儲かりそうな銘柄を選択。そのうえで信用取引や知人の名義も使って取引を行った。さらに勤務時間中に会社で取引を行ったこともあったという。このような形で大規模な買い注文を行い(買い付け総額は2億4000万円)、公告後値がつりあがったところで売り抜けることを繰り返し、合計で約3000万円の利益を出した。

取引をしたのは2005年12月13日から2006年1月20日までの間で、対象となった銘柄は【西松屋チェーン(7545)】【イムラ封筒(3955)】【ハローズ(2742)】【クラビット(4347)】【CRCソリューションズ(9660)】の5銘柄。報道機関の社員によるインサイダー取引摘発としてだけでなく、同一人物による5銘柄のインサイダー取引による告発も今回が初めて(※7月7日に【日本経済広告社】の元営業局長による同様の犯行の有罪判決が出ているが、日本経済新聞社と日本経済広告社は関連会社の関係には無い。わずかな資本関係があるのみ)。

なお日本経済新聞社では本日付で笹原容疑者を懲戒解雇すると共に午後5時半から記者会見を実施。その中で、の杉田亮毅社長は「広く国民の皆様の信頼を裏切り、なおかつ多大なご迷惑をおかけしたことを深くお詫びしたいと思います」とコメントした。

今件については現在利益は3000万円で単独の行動ということだが、今後捜査当局の取調べいかんでは利益の額がもっと多くなり、他に関与している者が挙げられる可能性は(状況から推測するに)否定できない。もしそのような事態になれば、日経新聞に対する信頼の回復には多大な努力が必要とされることだろう。

また、公告を行う企業として公正明大中立でなければならない報道機関内部によるインサイダー取引であり、「絶対にやってはならない」類の筆頭的なもの。信頼問題にかかわる重大な状況であることに違いはない。市場の不信感を払拭(ふっしょく)するためにも、日経新聞社には冷や汗ではなく滝のような汗が出るほどの誠意を持って対処してほしいものだ。

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