山本金融相、証券税制優遇措置「絶対無くさないように」と発言、存続を訴える

2006年11月14日 12:30

株式イメージロイター通信が報じたところによると11月14日の閣議後の国会内での記者会見の中で、山本有二金融担当相は記者団に対し、現在継続か廃止かで論議が交わされている証券税制の軽減税率について「絶対無くさないようにしなければならない」と語り、あらためて存続を訴えた。

スポンサードリンク

山本金融相は存続を主張する理由として、「間接金融だけでは難しいこの時代は、直接金融的な発想がいる。それには株式への理解が不可欠だ」とし、株式投資の重要性を主張し、その上で「その理解の延長上に、証券取引は活発にならなければいけないという考え方がある。10%軽減税率は暫定措置といえども、目的までまだ道は遠い。これについては据え置き、絶対に確保しなければいけない」とし、暫定措置である証券税制優遇措置を解除するには、その解除条件にはまだ達していないとしている。

2007年末には株式の譲渡益に関する優遇税制が期限切れとなり、現状の10%から20%に戻る。また、株式の配当についても2008年4月から現状の10%の措置が無くなり20%に差し戻されることになる。これは預貯金などと同じ率であり、公平感の維持という意味ではまったくもって正論。しかし山本金融相も述べているように、いまこの段階で制限を解除してしまうと、投資熱が一気にさめ、ただでさえ景気回復が踊り場に差し掛かっている中、消費税率アップの際の失策のように、経済成長を押しとどめるどころか反転させてしまうことにもなりかねない。

問題なのは今措置が、2003年という「ネット証券が普及する直前」のタイミングで設けられたこと。つまりネット証券を経由して投資をしている個人投資家の大部分が、この優遇税制を当たり前のように見ていることになる。この時点で特別優遇措置の撤廃を行えば、「元に戻る」のではなく単なる「増税」にしか思えないだろう。そうなれば、多くの個人投資家の投資意欲が減少し、金融相の危惧している事態がおきかねない。

措置を撤廃するにしても投資家らにも納得がいき、経済の流れを逆流させるようなことのない代替措置が必要だろうし、何よりも今のところは継続すべきだろう。


■関連記事:
【次期税制調査会会長、証券税制の優遇措置廃止を示唆】
【証券業界にとってのウィークポイント「優遇税制」の存続を求めた攻防戦が続く】

(最終更新:2013/08/25)

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...

スポンサードリンク



 


 
(C)JGNN||このサイトについて|サイトマップ|お問い合わせ