やらせBlogこと「Flog」とネット上の「口コミ」と広告会社と……上

2006年11月11日 19:30

インターネットイメージ最近ブログ上に企業などから依頼され、さも第三者的な観点からのように賞賛の記事・ブログを展開して口コミ効果を狙うという、いわば「事業的に行うネット上のバイラルマーケティング」について、さまざまな話題が持ち上がっている。この手法については賛否両論だが、【NIKKEI NeT】に一つの答え、あるいは参考事例となるような記事が掲載された。そしてさらにそこで、先日目にした人物の名前を見つけることもできた。

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■ウォールマートでの「Flog事件」

今回ピックアップした記事は、アメリカ最大のティスカウントストアとして日本でも有名な【ウォールマート】における話。ここの広告担当をしている【Edelman】のCEOであるRichard Edelman(リチャード・エデルマン)氏が「Flog(Fake Blog:企業に雇われていることを隠す、あるいは偽ってブログをすること)」を開設していたことを認め、【自分のブログ】で謝罪したというものだ。このFlogが発覚してから5日ほど沈黙を続けた上で、ようやく観念したかのようだった。

詳細は元記事を参照してほしいが、概要は次の通り。このFlog以前からウォールマートの企業イメージはお世辞にもよろしくなかった。そこで企業イメージを回復するため、エデルマン氏を起用した。同氏はFlogを立ち上げ企業イメージアップを図ったものの、【消費者団体】【Business Week誌】にFlogであることをすっぱ抜かれてしまう。かくして彼らがもくろんだ「バイラルマーケティング(口コミ戦略)」は、まったく逆の意味で効果を発揮する。批判が批判を呼び、ウォールマートはますますイメージについて頭を抱える事態となった。

元記事ではなぜ、日本風にいうと「炎上」したのかについて分析をしている。簡単にまとめると「ブロガーが身分を偽って企業のマーケティングに加担するのは嫌悪される行為」「非難の対象になることが多いウォールマートをあからさまに賛辞するブログが出てくると疑われるのは明らか。やり方が稚拙」。この2点に尽きるという。

さらにこのFlog騒動の直接の実行者であるエデルマン氏が、アメリカの【WOMMA(Word of Mouth Marketuing Association、WOM(Word of Mouth)+Marketingから作られた造語で、いわゆる「口コミマーケティング」。=バイラルマーケティング)の倫理コード】の作成にも関与し、「身分証明こそが透明性である。すなわち企業がブログの内容に関与しているときには、それを隠さずに明示すること」が、口コミを行う企業には必要不可欠であると主張していたから、「炎上」の度合いは大きくなった。

つまり、よりによって「隠し事をしながら口コミ戦略をしちゃいけない」と他企業に言って回っていた団体の中核人物が、その「やってはいけないこと」をやらかしてしまっていたわけだ。加えて事態が発覚したあと、5日間も非難に答えずに沈黙したことが言葉どおり「火に油を注ぐ」結果となる。加えてエデルマン氏の会社のスタッフも多数参加していたことが分かり、エデルマン氏の会社そのものの信用問題にまで発展しているとのこと。

例えるなら、リスク管理をうたう警備会社のトップがよりによって初歩的で意図的な犯罪行為をしでかし、しかもそれが発覚した後もまともに対応せずに黙り込んでいたというところだろう。「PR会社のエデルマンにこそ、腕のいいPR会社が必要だ」という皮肉な言葉もささやかれる始末であるとのことだが、納得せざるを得ない。


■一連の記事:
【やらせBlogこと「flog」とネット上の「口コミ」と広告会社と……上】
【やらせBlogこと「flog」とネット上の「口コミ」と広告会社と……下】

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