【更新】新たな支店はネット世界内、「Second Life」を有効活用する米企業たち

2006年10月22日 19:00

「Second Life」内アディダス支店イメージ世界的に権威のあるロイター通信社がネットワークゲーム【Second Life(セカンドライフ)】内に本格的支局を設けたのは先に【ロイター通信がネットゲーム「Second Life」内に支局を設立~1】でお伝えしたとおりだが、[産経新聞]などの報によると他にもさまざまなアメリカ企業など大手企業が、『Second Life』を有効活用しようと動き出していることが明らかになった。企業らは『Second Life』に支店を設けたり、マーケティングリサーチのための調査データを取得する試験エリアとして用いつつある。

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『Second Life』とは【一歩先行くネットワークゲーム『セカンドライフ(Second Life)』の日本語版、まもなく公開】で取り上げたように、アメリカで運営されている多人数同時参加型ネットワークゲームのひとつ。自由度がきわめて高くゲーム内ビジネスが容易に行えるように工夫がしてあり、ゲームの内部で流通する通貨「Linden Dollar(リンデンダラー)」とアメリカドルとの相互交換が容易にできるシステムが提供されている。ゲーム内取引額は年間1億3000万ドル(約155億円)。これもすでにお伝えしているように、アメリカではすでにゲーム内でさまざまなアイテムのデザインをすることでビジネスを生み出し生計を成り立たせている人もいるほど。

今回の元記事や『Second Life』内の「ビジネス」を紹介する【Business Communicators of Second Life】などによると、【トヨタ(7203)】【日産自動車(7201)】、ソニーBMGやアディダス、ナイキやリーボックなど多数の世界的企業が『Second Life』内に支店を設けたりマーケティングリサーチのための拠点を作ったりと、積極的な活用をはじめているという。

日産の自動車イメージ複数の自動車メーカーは自社ブランドの自動車をゲーム向けにデザインして販売。現実社会と同じようにプレイヤーはゲームの中でトヨタや日産ブランドの自動車を購入でき、運転できる。さらに日産では独自設計のドライブコースを建築したという。日産ではこの費用のために(ゲーム内の島を買い取ったようだ)1250アメリカドルの初期費用と毎月195ドルの経費を必要としているが、(デザインや運営などの手間やその人件費を差し引いても)その何倍ものプロモーション効果を得ている。

【スターウッドホテルグループ(Starwood Hotel)】はホテルを建てて本物のプロモーションを行うだけでなく、複数のデザインを展開。その中から好評だったものを2008年に開業予定の「実際のホテル」に反映させた(【Starwood Hotel's Second Life Aloft - a 3-D Brochure】)。単に広報宣伝として用いるだけでなく(調査対象がゲームの中ではあるが)「市場調査」ツールとして利用したわけである。

『Second Life』内で展開しているウッドホテル
『Second Life』内で展開しているウッドホテル

スポーツ用品で世界的ブランドとして名を知られているナイキやリーボックは、ロイター通信同様に支局ならぬ支店を開設し、単に販売するだけでなく新デザインの自社商品の売れ行きを調べている(【Adidas Opens Store in Second Life】)。こちらも市場調査ツールとして用いていることになる。

アディダス支店のようすや実際に「販売」している商品たち
アディダス支店のようすや実際に「販売」している商品たち

ソニーBMGでは共同住宅内の一室を本物のアーティストに提供し、そこを訪れた住民たちに音楽や映像を視聴させるという。現実世界ではアーティストたちの住む家にファンが訪れるなどとても出来やしないが、『Second Life』でならそれは可能。しかも彼らの作品を視聴することだって出来てしまう。さらに本物顔負けの大型看板を出し、行きかう人々の注目を集めている。

ソニーBMGではアーティストのための共同住宅を提供し、そこをプロモーションの場としても用いている。また大規模な用地買収をし、プロモーションエリアを構築している
ソニーBMGではアーティストのための共同住宅を提供し、そこをプロモーションの場としても用いている。また大規模な用地買収をし、プロモーションエリアを構築している

日産の例にもあるように、企業による『Second Life』への進出費用は現実世界と比べるとべらぼうに安い。うまく使いこなすことで、素晴らしいコストパフォーマンスと安全性の中で広報展開や市場調査が可能ということで、企業の注目の目は今後ますます集まりそうである。

何度と無く『Second Life』の話を取り上げていると「日本でも……」と思うのだが、日本では『Second Life』がこのような地位を獲得した理由である

「現金との互換性のあるゲーム内通貨流通とそれを前提とした強固で安定性のあるシステムの提供」
「特にデザインなどデジタルソフトの利点を活かせる面における自由度が極めて高いシステム」
「はじめから単なるゲームとしてではなく『仮想世界』を構築していると自認し、その中でビジネスが行われることを黙認どころか積極的に推奨している」


などの条件を満たしたものはまだ存在し得ない。ノウハウや経験はともかく、技術だけなら日本でも何とかなりそうだが、ネットゲームの運営は(実世界での政治経済、行政経営同様に)ノウハウや経験が必要不可欠。しかも多人数同時参加型ネットワークゲームという分野そのものが、この世に登場してから半世紀も経っていないため、海外はともかく日本では論文も研究者も学会もほとんど存在せず、学術も確立していない。

単なる多人数同時参加型ネットワークゲームなら『Final Fantasy XI』などで日本はようやく(ほんの少しではあるが)世界に追いつくことが出来たかな、という状況に達したようにも見える。しかし数の面では首を傾げざるを得ない。『Second Life』に代表されるような「単なるゲームではなく一歩先行くネットコミュニティ・バーチャルワールドとしてのサービス提供」の分野でも、ぼやぼやしているとまた取り残されてしまいかねないような気がしてならない。

『Second Life』はそう遠くないうちに日本語版のサービスを開始するという。日本で大いに受け入れられるかどうかはまだ未知数だが、日本の企業も「ゲームだから」と鼻で笑うことなく、真剣になって「デジタルワールドの活用」を考えてみてはいかがだろうか。


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(最終更新:2013/08/25)

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