日本証券業協会、公募増資の審査厳しくし、投資家保護強化の動きへ

2006年10月26日 12:30

株式イメージ【NIKKEi NeT】が報じたところによると【日本証券業協会】は上場企業の公募増資などについて、証券会社の引き受け審査を厳しくするため、15項目の基準を新設、2007年2月から適用するとのこと。企業の安易な資金調達に歯止めをかけて、株主や投資家の保護を強化する狙い。

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具体的には過去の利益計画の達成度や適切に情報を開示できているかなどの審査を引き受け証券会社に義務付ける。また証券業界の自主規制機関である日本証券業協会がリーダーシップをとる形で審査基準の具体的な内容を決定し、監査で証券会社の審査の違反が分かれば過怠金などの処分を下すことになる。

公募増資以外では新株予約権付社債(転換社債、CB)や普通社債、優先出資証券など、幅広い投資家からの資金調達を審査の対象にする。

今件について日本証券業協会に確認したところ、現在のところ公式には何もコメントすることはないとした上で、「もしお話のようなことが具体的な形として発表できるようなことになれば、公式のサイトにて告知も行い、必要ならば御質問にもお答えする」との回答だった。現在のところ日経の先行記事でそれ以上の裏づけとなるものは何もないが、何らかの形で動きがあるのは察することができる。

問い合わせの際に「転換社債にいわゆるMSCB(Moving Strike Convertible Bond。転換価格修正条項付き転換社債のうち、修正が6か月に満たない間隔で行われ、さらに下方修正転換価格が参照価格を下回って決定されうるもの。要は株価が下がれば下がるほど多くの株式を引き受け先が手に入れることができる転換社債)は含まれるのか」についても確認を求めたが、今件そのものがノーコメントだったため当然のことながら回答は得られなかった。しかし常識的に考えてそもそもMSCBも転換社債の一種であり、「転換社債は駄目でMSCBは問題なし」などということは考えにくく、事実上含まれるといってよいだろう。

一部の上場企業には公募増資や転換社債、特にMSCBの発行を繰り返すことで「事業:株券発行」と揶揄(やゆ)されるようなところもある。また、公に「公募増資はしない」と明言して株主総会で決議をとった直後に大規模公募増資を行い株主から猛反発を受けている会社もある。公募増資による市場からの資金調達は、会社そのものの資金の確保、しいては会社の存続のためにはプラスとなるが、既存株主にとっては一株あたりの資産価値が薄まるためマイナスになる。また、株価がネガティブに触れやすく、それも既存株主にはよくない状況を生み出す。

特に新興市場企業に安易に公募増資(とりわけMSCB)を乱発し、証券会社側も手数料が得られるために安易に許諾する傾向があるとして、日本証券業協会が動いたものと思われる。今件が確かなものであること、そして公式に発表されることを待ち望みたいものだ。


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