東証、「総合整備プログラム」を発表、MSCBの適法性を厳粛チェック

2006年06月23日 06:30

株式イメージ【東京証券取引所】は6月22日、上場制度の抜本的見直しを図るため、「統合整備プログラム」を発表した(【発表リリース(上場制度総合整備プログラムの策定について)】)。昨今東証や株式市場そのものを取り巻く状況の変化などに対応するためのもので、一部は年内にも実施する。その中で株価の大幅な下落を招くことがある転換社債型新株予約権付き社債(MSCB)を上場企業が発行する場合、適法性を厳しく見極めるとのこと。

スポンサードリンク

MSCBは、株式への転換価格を状況に応じてその時の株価で算定しなおすことができるという条項がついた転換社債(CB)。引きうけ手側が売り抜けて利益を得られる一方で、株価が急落した場合他の株主が不利になることがある。先にライブドアがニッポン放送の買収資金調達の際に「活用」し、問題が表面化した。

今回のプログラムでは、今後MSCBを発行する場合、法律家からの適法判断意見や、引きうけ手の選定理由、さらには引きうけ手の保有方針などを発行企業に開示させることになる。

MSCBは比較的容易に大量の資金を調達できる反面、引きうけ手側の思惑次第で株価が乱高下し、さらには転換後に株主構成が一変したり、他の株主が大きな損失を受ける場合もある。経験則からしてMSCBを発行した企業の多くは健全な経営が難しくなるという判断から株価が下がる場合も多く、それがさらにMSCBにおけるさまざまなマイナス点を浮き彫りにすることになる。

今回東証が発表したMSCBへの規制強化は以前からプランとして何度か報じられている。そして「そう遠くないうちに、これまでのように気軽にMSCBは発行できなくなる」「ならばせめて、規制強化の前にMSCBを発行しておこう」とばかりに、少なからぬ上場企業が駆け込み的に大量のMSCBを発行する状況がうかがえる。

MSCBそのものはまったくの合法だが、使い方次第で既存株主がバチをかぶるような可能性も少なくない。投資は自己責任ということもあるので、銘柄選択の際にはMSCBの発行の有無や、その発行理由、そして発行後の姿勢をよく確認した上で選ぶべきだろう。また、東証のプログラム実施後は、これまでのように「無茶」な発行は少なくなるものと思われる。

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...

スポンサードリンク



 


 
(C)JGNN||このサイトについて|サイトマップ|お問い合わせ