mixiを悪用した「情報ねずみ講」、図解とその後……その2「仕組み」と「収益構造」

2006年09月08日 23:00

Mixiイメージ【その1】から続く、「情報ねずみ講」に関する続報。ちなみにこの「情報ねずみ講」という言い回し、我ながらなかなか間抜けな表現だと考えている。情報のねずみ講ってなんだよ、と自分で自分にツッコミを入れたくもなるが、ニュアンス的・イメージ的なところを前に出すために創った造語。もし今後この言い回しがマスメディアで報じられることにでもなれば、ここが発信源なのでWikipediaあたりにはそのように記述しておいてほしい(笑)。もちろん都合が悪いことが書かれても、当方で削除することはないからご安心あれ。

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「情報ねずみ講」の仕組み

戯言(ざれごと)が過ぎた。先に【mixiを悪用した「情報ねずみ講」、進行中】を書いてからされに自分なりに調べたり、他の人の話を聞いたりし、ある程度新たなことが判明したり、理解が深まったところがあった。おさらいも兼ねて「情報ねずみ講」なるものは何なのかを再確認してみる。

「情報ねずみ講とは」……主にmixiなどのSNS上のコミュニティを暗躍の場とする、ねずみ講的・マルチ商法的な不当ビジネス


mixi内に存在する、同じ考えを持つ人たちが集まった複数の掲示板によって創られた集まりこと「コミュニティ」。オープンなものも、コミュニティのメンバーにしか参加できないクローズなものも創ることができる。

そのコミュニティに、「儲かります」「違法じゃないです」「日給×万くらいいくんじゃないかな」「空いてる時間にちょっとだけ」「主婦でも簡単」「携帯でもお気軽にお金稼ぎ」という誘いのメッセージのトピックス(コミュニティ内の単独掲示板)がまずは立ち上がる。そのトピックスで勧誘を行いターゲットを誘う。釣りで言うのなら「釣り糸を垂らす」。

釣り糸をたらしただけでは「魚(つまりカモ、「情報ねずみ講」の下部構成員)」はやってこない。妖しいかも、と思われるからだ。そこで、あらかじめ申し合わせていたかのようにサクラの会員が「興味あります、詳細を送ってください」と書き連ねる。釣りに例えると「撒き餌をまく」。

一人、二人、三人とサクラによって書かれるにつれて、まったく無関係の第三者も「あれ? 大丈夫かな」と思い、ついつい気を許し、自分もと同じような言い回しで情報を求める。曰く「詳細をお送り下さい」。例えるなら「撒き餌につられてついつい釣り針のエサに食いつく」。

サクラによって多少低まったとはいえ、妖しいかもしれないというハードルを乗り越え、勧誘に乗った「カモ」は勧誘主にとって絶好の子猫ちゃん。あとは言葉巧みに誘いこみ、自分の下部構成員にするための誘導を行うのみ。先の記事の表現を使えば、「誘いに乗ると送られてくるのは、勧誘者が提供する(あるいは代理店販売をしている)情報商材への購入口だったり、勧誘者に報酬がもらえる・勧誘者が親になる「情報ねずみ講」まがいのサイトへの登録場所(主に携帯にメディアを絞っているのは、「より多くのカモを集めるため」以外に、携帯端末の情報を入手する意味合いもあるのかもしれない)。後者は特に、一人でも早く「子会員」を増やした方が有利になるから勧誘側も必至だ。誘いの言葉「日給●万円」の世界に「自分が」到達するため、一人でも「カモ」を増やしたいのだから」ということになる。群集・大衆・行列心理を巧みについている、ともいえる。

トピックス立ち上げとサクラによる勧誘
トピックス立ち上げとサクラによる勧誘

サクラが都合よく次々に書き込むのは、これもクローズドコミュニティにおいて、何らかの申し合わせをしているため。相互協力の場合もあれば、上部構成員が下部構成員に依頼する場合もある。例えば「私がこれから●×のコミュニティで勧誘のトピックスを立ち上げる。それなりに自然な間隔を開けて勧誘に乗ったかのような書き込みをして盛況さを演出するように」。mixiでは誰がどこのコミュニティに入っているのかは確認できるから、それぞれのサクラっぽい書き込みとトピックス設立者、同時期に複数のコミュニティで立ち上がった書き込みを見ればその関連性は分かるというもの。

「情報ねずみ講」の収益構造

本来のねずみ講の場合は、下部構成員から吸い上げた会費(あるいは代金)を上部構成員への上納金に充てられている場合が多い。「情報ねずみ講」では基本的に会員からの徴収金はない。ではなぜ「不当利益」を得られるのか。打ち出の小槌が無ければ、どこかから金をむしり取るしかない。そこで考えられるのは第三者から金を得ることである。人の多さが金に直結するビジネスといえば、そう、登録などの広告ビジネス。

携帯ビジネスが急速に進んでいるのはすでに報じている通り。端末でほぼ個人が特定できる(消費動向などのビジネスという面での個性のレベルの特定という意味)携帯で展開されるビジネスサイトへの登録は、どのようなジャンルのサイトオーナーでも喉から手が出るほど。当然、携帯端末向け広告の単価は高いし、「登録されたらいくら」という成功報酬制のものは鼻血が出るほどだ。

要はこのような「大枚払ってでも携帯経由での登録者がほしい」というスポンサーに、

1)「下部構成員A」を「上部構成員」がスポンサーサイトに誘導し
2)「下部構成員A」が登録した際の登録・成功報酬費を、「上部構成員」が受け取る。


という形が採られるわけだ。登録先がどのようなサイトなのか、知ったことではない、という具合(さすがに即有料制のサイトはないだろうが)。仮にこの組織が大きくなり、「下部構成員A」の下に「下部構成員B」と「下部構成員C」がついた場合、

1)「下部構成員B」を「下部構成員A」がスポンサーサイトに誘導し
2)「下部構成員B」が登録した際の登録・成功報酬費の一部を、「下部構成員A」が受け取る。
3)「上部構成員」が、「下部構成員B」が登録した際の登録・成功報酬費の残りを受け取る。


という形になる。階層の上に行けば行くほど楽して上前をはねられるという、マルチ商法・ねずみ講と仕組みが同じなのは言うまでも無い。また、似たように「階層式上前徴収システム」を用いて、登録成功報酬費以外に収益を挙げられるようなアクションを下部構成員に半ば強要する仕組みも想定される。

情報ねずみ講収益構造図の一例
情報ねずみ講収益構造図の一例

再確認しておくが、「構成員」らが直接現金を支払うことは基本的にない。労力と通信費くらいなもの。ここが通常の「ねずみ講」などとは違うところであり、実行者らが「違法ではない」とする論拠でもある。

【その3に続く】


■一連の記事:
【mixiを悪用した「情報ねずみ講」、図解とその後……その1「なぜ」と「理由」】
【mixiを悪用した「情報ねずみ講」、図解とその後……その2「仕組み」と「収益構造」】
【mixiを悪用した「情報ねずみ講」、図解とその後……その3「問題点の指摘」】

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