mixiを悪用した「情報ねずみ講」、進行中

2006年08月26日 12:30

Mixiイメージ9月14日にマザーズ市場への上場も決定し、経済産業省などからも情報産業の躍進の要の一つとして期待を寄せられているSNSの最先端を突っ走る【mixi】。だが、500万人を突破し、さらに増加する勢いの会員とSNSの仕組みに目をつけた良からぬ考えの持ち主らが、妖しげなビジネスの対象としてmixiを悪用する動きも多々見られる。先にも何度かその手法をお伝えしたが、最近とみに見受けられるようになった新たな「やり口」をここにまとめてみる。今回は一言で表現すれば「情報ねずみ講」といったところか。

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当方(不破)は自己修練や情報収集のため、複数のネットビジネス系・モバイル系の「コミュニティ」に入っている。ちなみに「コミュニティ」とは同じ考えを持つ人たちが集まった複数の掲示板によって創られた集まり。オープンなものも、コミュニティのメンバーにしか参加できないクローズなものも創ることができる。

最近それらのコミュニティに、ねずみ講まがいの勧誘が目立つようになった。いわく「儲かります」「違法じゃないです」「日給×万くらいいくんじゃないかな」「空いてる時間にちょっとだけ」「主婦でも簡単」「携帯でもお気軽にお金稼ぎ」という誘いのメッセージのトピックス(コミュニティ内の単独掲示板)をまずは立ち上げる。そしてそのトピックスで勧誘を行うのだ。

勧誘トピックスの一例
勧誘トピックスの一例。目撃者の話ではまったく同じ文面が別々のアカウントでほぼ同時期に、複数のコミュニティで新規トピックスとして掲載されていたとのこと

mixiのトピックスでの勧誘自身は最初、勧誘者が開設した外部のサイトに誘導するというパターンがほとんどだっった。しかしmixiの規程に抵触するので規制の対象となり、このパターンは無くなる。

次に短縮URLを使う方法に変更。短縮URLとは専用のサイトを経由して指定したサイトに飛ぶための、短いURLを指定するサービス。本来携帯向けのメルマガなどに使われるのだが、ジャンプ先のURLが一目では分からないので、妖しいサイトへ誘導したりURLでの規制をかわすためにも使われるようになった。

短縮URLも警戒感からクリックされなくなり効果が無いと判ると、今度は「興味のあるかたはメッセージか書き込みを。詳細(を記したURL)を送ります」と誘う方法へ。今現在、このやり方が主流となっている。しかし誘導の仕方は違うものの、やっていることは同じ。

誘いに乗ると送られてくるのは、勧誘者が提供する(あるいは代理店販売をしている)情報商材への購入口だったり、勧誘者に報酬がもらえる・勧誘者が親になる「情報ねずみ講」まがいのサイトへの登録場所(主に携帯にメディアを絞っているのは、「より多くのカモを集めるため」以外に、携帯端末の情報を入手する意味合いもあるのかもしれない)。後者は特に、一人でも早く「子会員」を増やした方が有利になるから勧誘側も必至だ。誘いの言葉「日給●万円」の世界に「自分が」到達するため、一人でも「カモ」を増やしたいのだから。

勧誘メールの一例
誘いに乗って書き込みしたところ送られてきたというメール。携帯電話で特定のURLにアクセスしパスワードを入力しろとのこと。引数に勧誘者のパラメータが設定してあり、このURLでアクセスするとその勧誘者報酬が入る仕組み

こうした勧誘トピックスが立ち上げられるのは「携帯」や「広告」「儲かる」などのキーワードが飛び交いやすい、彼らからすると「カモ」が集まる可能性が高いと思われるコミュニティ。案の定そういうコミュニティに複数入っていると、最新情報のタイトル一覧に、それらしい言い回しの新着書き込みがずらりと並ぶ。

困ったことに、mixi内でのこのような「ねずみ講まがい」の方法が、「mixiでこういうふうにやると儲かる、『カモ』を集められる」とアドバイスする形で、これまた情報商材として出回っている。しかも一つではなく、複数の方法論が流通しているようだ。実際ここ半年の間に、急激に「mixiを使って儲ける!」というキャッチコピーが情報商材販売の宣伝やスパムメールで見うけられるようになった。

このタイプの情報商材が広まり、使用者が増えると、質の低い使用者も出てくる。具体的には工夫もせずに勧誘用のテキストサンプルをそのままベタコピーで使ったり、「この部分には適切なキーワードを入れるように」と指示している部分を書き換えず、ダミーテキストのまま送り出してくる文面が見られたり、複数の人間に化けているのに、別々のアカウントで同じ文面を用いたり。このような勧誘文が出回りだしたら、相当この情報商材が出回っている証拠である(「1匹見かけたら家の中には20匹……」というアレと同じだ)。

mixiは登録時に勧誘・認証システムを用いているが、事実上はかなりザル。メールアドレスを複数持っている人なら、事実上一人で複数のアカウントを持つ事が可能。その「情報商材」ではこの仕組みも利用し、

・一人で複数のアカウントを取って互いにマイミク※状態にし「カモ」を信用させる
・サクラとして書き込みする
・別々のアカウントで別々のコミュニティで同一の勧誘をし、効果を高める

※マイミク……マイミクシィの略で、ある程度の情報を共有しあうmixi上の「お友達」状態のこと


と指導している。「サクラ」については情報商材の提供側などがクローズのコミュニティを用いて横のつながりを形成し、サクラとしてそれぞれのトピックスに「派遣」している様子もうかがえる。「割れ窓理論」ではないが、まったく応募者がいないと新たに書き込みはしにくいものだが、サクラでも何人か「教えてください」と応募があれば、まったくの第三者も応募したくなる可能性はぐんと上がる。

これまでに何度と無くmixi内におけるこのような「妖しげな動き」に警告を発している。だが今回は、正直相当な危機感と不快感を感じているといわざるを得ない。当方は法務資格を持つわけではないので法的な言及は避けたいし、裏づけがあるわけでもないが、恐らく今件は突き詰めればグレーゾーンからブラックにあるのではないかと思われる。また、広告代理店のシステムを活用したネット上における広告・紹介システムを冒涜するような動きといわざるを得ない。

仮に無限連鎖法一つとっても、今件がこの法に抵触しない仕組みだったとしても、広告主からすればシステムを悪用され無意味な広告費を支払ったと分かれば、ネット広告に対する信頼度は下がり広告出稿費が抑えられてしまうに違いない(「無意味な支払いばかりさせられてた」と広告主が思ったらどういう行動に出るか、自分の立場になって考えれば明らかだ)。こんなことが繰り返されれば正直者までもがバチをかぶり、莫迦を見てしまう。

もちろんmixi側としても容認できまい。何しろ上場間近の大企業において、主力事業として運営しているネットコミュニティ上で、このようなことがまかり通っているのは社会通念的に問題があるからだ。

真面目に情報ビジネスに携わっている者にとっては、社会的イメージをおとしめるような今回の動きは、正直言って迷惑以外の何物でもない。mixi当局側には早急な対応と対策を望みたいところである。


■続編の記事:
【mixiを悪用した「情報ねずみ講」、図解とその後……その1「なぜ」と「理由」】
【mixiを悪用した「情報ねずみ講」、図解とその後……その2「仕組み」と「収益構造」】
【mixiを悪用した「情報ねずみ講」、図解とその後……その3「問題点の指摘」】

(最終更新:2013/08/26)

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