金融庁、生保最大手の日本生命に業務改善命令

2006年07月26日 20:45

株式イメージ【金融庁】は7月26日、生命保険最大手の【日本生命】が、生命保険の契約内容を改ざんし、さらに不正に契約を解除するなど、保険業法に違反する不適切な業務を行っていたとして、支払い態勢の見直しや役職員の責任の明確化などを求める業務改善命令を発出した(【発表ページ】)。

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日本生命では支払いの査定を行う担当者が、生命保険の契約の際に病歴などの告知義務に違反した契約者に対し、保険会社から契約を解除できる期間を改ざんして不正に契約を解除したケースが去年までの9年間で105件確認された。さらにそのうち29件についてはこの不正契約解除後に保険事故が発生、結果として保険契約を復旧させて保険金などを支払った案件が29件(2億429万円)あった。

また、保険金の支払いが遅れた際に発生する利息を少なく計算して支払うケースが担当者の間で4年間で303件・55万3000円分も認められ、担当者以外のケースでも35件・3万2000円分確認された。

これらの事態を検証した結果、金融庁では日本生命には、保険金の支払いや管理態勢、経営管理に問題があるとして、態勢の見直しや役職員の責任の明確化などを求める業務改善命令を出したものである。

今回の金融庁の命令では業務停止や取り消しなどの厳しい処分はない。しかし、日本最大手の保険会社である日本生命が、業務を法令に従ってこなしていなかったことの発覚や、それに伴う改善命令なだけに、衝撃も大きい。

最近は外資の保険会社の相次ぐ参入や高齢化社会の到来に伴う市場そのものの拡大、さらには規制緩和により、保険業界の競争も厳しさを増している。当然、各保険会社でも利益を確保し、顧客を一人でも多く得ようと必至になる。忙しさも増し、チェック態勢も行き届かなくなるかもしれない。

保険会社側からみれば顧客一人一人は「何千人、何万人のうちの一人の保険の対象者」にしか過ぎない。しかし保険に頼る顧客側の身にしてみれば、「自分自身、たった一人のための保険」に他ならない。保険が多角化するにつれ、「量産向けのスタンダードな保険を多数の人に」というスタイルから、顧客のニーズに合わせてカスタマイズされた保険を提供する形に変わりつつある今、保険に携わる人たちには「この世に一人しかいないお客さまを相手にする商売」であることを忘れずにいてほしいものだ。


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