テレビ局の年収をグラフ化してみる

2008年12月05日 06:30

お金イメージ先に【日本の広告宣伝費上位10社の広告費をグラフ化してみる+α】でも紹介したように、先日発売された『週刊ダイヤモンドの最新号「新聞・テレビ複合不況~崖っぷちに立つマスメディアの王様」』は要注目の1冊といえる。四大マスメディアの中でも影響力が大きい新聞とテレビについて、多方面から現在抱えている問題点を取り上げ、解説を行っているからだ。1年以上前の同系列の特集【「新聞没落」…週刊ダイヤモンド最新号を読み解く】同様、当方も永久保存確定のポジション。今回はその特集からのグラフ化や覚え書き化するシリーズ第三弾として、「テレビ局の年収」をグラフ化する。

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週刊ダイヤモンド「新聞・テレビ複合不況~崖っぷちに立つマスメディアの王様」(2008年12月6日号)では、多種多様な方面から新聞とテレビの現状にメスを入れている。非上場のためになかなか内情が伝わってこない新聞社と、公開企業ではあるが理解しがたい経営戦略や対外方針を続けているようにすら見えるテレビ局について、「おサイフ事情」と「しがらみと意地」の2点から分析が加えられている。

ロケ弁イメージ2点の分析の切り口のうちの一つ、「おサイフ事情」をメインにした記事の一つに「コスト削減の荒波」という項目があった。いわく、テレビ局の場合は本業のテレビ広告の売上が激減している関係で経費を削減しなければならない。本局の職員ボーナスをはじめ、ロケ中に配布される弁当の価格や個数チェック、放送外収入へのアプローチ(関連商品の販売、海外へのコンテンツ売却、本業リソースを用いた新事業の開拓、不動産事業)、そして制作プロダクションへのコストカットの圧力などなど。スポンサーの花王から提供された制作費1億円が、広告代理店・放送局・中請けを経由して実質的な作業を行う制作プロダクションの手には860万円しか渡らなかったという、くだんの「あるある大事典」問題の際に明らかにされた事例も挙げられていた。

本局職員も「給与もボーナスも削られてキツい」と愚痴をこぼしているとの話だが、周囲からの目は厳しい。元記事にも「まだもらい過ぎ」「寒風が吹き付けるマスコミ業界だが、世間一般に比べてその中身が特に厳しいわけではない」「それほど同情する気は起こらない」「まだまだ社員の人件費は高過ぎる」という言葉が踊る。

それを体言していたのが、「テレビ局年収ランキング」。元記事では主要局のリストが掲載されていたのだが、それをそのまま写したのでは芸がない。そこで以前から決算などを追いかけている上場放送局(キー5局、地方4局)とNHKなどを四季報データから抽出し、グラフ化したのが次の図。

テレビ局年収ランキング(上場企業+α)(単位:万円)(2007年度)(緑色はキー局)
テレビ局年収ランキング(上場企業+α)(単位:万円)(2007年度)(緑色はキー局)

上場企業に絞ったため、結局四季報の最新データ(2007年度分)の年収を抽出(元記事のデータは使わず)。さらにNHKについては昨年から続く総務省とのやりとりの中で明らかにされたデータを、比較対照データとして国税局が発表している最新の国民平均所得(2006年度分)や厚生労働省の国民所得中央値(2007年度分)を併記した。

役員や高級管理職だけではなく、一般職員をも含めた「平均の」所得がこの数字である。新潟放送が960万円と唯一1000万円を切っているが、それ以外はすべて1000万円超え。上位3局は1500万円を超える値を示している。

テレビ局は一種の専門職のかたまりで、そこに勤める職員は銀行員やパイロットと似たようなところがある。「いわばエリートのようなものだから、それに見合うだけの報酬を得て当然だ」というのが一つの意見としてあり、それはそれで正しい。ただし現状において「エリート」を名乗れるだけのものを生み出しているのか・「仕事」をしているのかどうかといえば、人によって判断が異なるだろう。転職情報誌DODAの公式サイトには【主要職種の平均年収最新データが掲載されている】。一概にテレビ局の職種と比較するのはやや難があるが、一例としては役に立つ。

それでも「公務員ではなく民間企業なのだから、その判断は企業単位が行う。税金によるものではないのだから、第三者が口を挟む余地は無い」という意見もある。それもまた真実。

株主総会イメージただし。今回例示した放送局はいずれも「上場企業」(のぞくNHK)。上場企業である以上、情報公開の義務はあるし、企業の構成員たる株主はその企業の経営に対し意見を述べる権利を有する。もしこれら放送局の事業内容や職員たちの働きぶり、成果物を見て、「この出来栄えでこの年収なら、むしろ不足しているのでは」と感じたら、株主となり、株主総会で「もっと職員への支払いを増やすべき」と提案してみるのも良いだろう。逆に「もらいすぎだ」と感じたら、その想いを総会で「株主として」伝えてみるのも一つの手ではある。

それもまた「個人投資家」としての「株主」権限の、「有効な使い方」といえるだろう。


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【平均所得額は566.8万円、でも全体の6割以上が平均所得以下!?】


(最終更新:2013/09/05)

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