日興アセット、新興国対象の投資信託設定を募集開始から一週間で中止

2008年11月11日 08:00

株式イメージ日興アセットマネジメントは11月10日、同社が設定を予定していた投資信託の新商品「日興新成長国通貨ファンド(愛称:新成長国サミット)」について、その設定を中止すると発表した。金融市場の混乱が続き、特に新興国の通貨下落が激しく、投資の運用環境が悪化したため。投資信託が募集開始後、設定を行う前に見合わせを行う事は珍しい(発表リリース、)。

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「日興新成長国通貨ファンド(愛称:新成長国サミット)」は11月4日から募集を開始した投資信託で、新興国の現地通貨建ての短期債券などに投資を行い、中長期的に高い金利収入と通貨価値の上昇によるリターンを目指すというもの(【募集開始時リリース、PDF】)。11月21日から運用を開始する予定だった。

ところが【アイスランド、政策金利6%引き上げ18%に】にもあるようにアイスランドが事実上のデフォルトにおちいったのをはじめ、新興国が相次いでデフォルトの危機にさらされると共に為替相場も激変。それらの国の通貨も著しく価値を低めることとなった。いくら利回りが高くとも、為替相場が乱高下しては最終的に日本円に換算する際に利回りは落ちてしまうし、第一デフォルトしてしまっては元も子もない。

そのような状況から、「日興新成長国通貨ファンド」は4日に応募を開始したもののわずか一週間で設定の届出を取り下げ、新規設定そのものを見合さざるを得なくなった。すでに申し込んだ投資家については、販売会社の取り扱い窓口に相談するようにと告知されているが、原則的に返金されることになるのでご安心を。

【投資信託の現状がかいま見られる分布図】でも触れたように、金融市場の急速な悪化でこれまで「急成長期待国」としてもてはやされていた新興国も不況の波にさらわれ、大きくその成長度合いを後退、あるいはさらにデフォルトの危機にすら追い込まれている。今回の「応募開始から一週間で取り下げ」という事態も、いかに状況が急激に進展しているかを表す象徴的な事例として、注目されることだろう。


(最終更新:2013/08/02)

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