FXに興味あり、だけど「ロスカット」を知っている人はわずかに3割

2008年11月22日 12:00

株式イメージ楽天リサーチは11月21日、FX(外国為替証拠金取引)に関するインターネット調査の結果を発表した。それによるとFXに興味がある・すでに行った経験を持つ人のうち、「ロスカット」(損切り)を理解している人はわずか3割に過ぎないことが明らかになった。その他FXに必要不可欠なルール・用語に関する認知度も決して高いとはいえず、仕組みの理解度の上でも現在のFXがハイリスクな取引であることを再認識させる調査結果となった(『発表リリース』)。

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今調査はFXの経験がある人、あるいはFXに興味を持つ人の中から20~60代を対象に10月22日~23日にインターネット経由で行われたもので、有効回答数は1000人。男女比・年齢階層比は均等割当。

FXとはアメリカドルをはじめとした外貨を売買してその差益を得る金融商品のこと。単に為替の高低差を利用して利益を得るのなら外貨預金口座を用いても良いのだが、FXの最大の特徴は「証拠金取引」にある。

この「証拠金取引」とは株式取引における「信用取引」のようなもので、少額の証拠金を担保として取引額を想定の元本とした差金決済を行うというもの。例えば30万円の元手を使う場合、外貨預金なら30万円そのものをアメリカドルに替えるしかないが、FXで10倍のレバレッジをかける(担保金の10倍の資金を運用する)のなら、300万円の資金を運用できることになる。つまり、「少ない資金で大きな運用と利益を」(同時に大きな損失の可能性も)がFXの特徴。別機関の調査(【「FX市場は3年以内に1兆円産業に」矢野経済研究所言及】)などによれば、FX市場の規模は拡大の一途をたどり、認知度も高まっているのが現状である。

今調査では「FX経験者」と「FXへの興味がある人」を対象にしており、すべての人がFXで取引をしているわけではないものの、それなりに興味関心と知識を持っているというのが前提。その上で、FXを「安全に」行う上では欠かせない用語・ルールレバレッジ」「スワップ」「スプレッド」「ロスカット」「売りから入れること」について尋ねた結果が次のグラフ。

FXの用語やルールに関する認知度
FXの用語やルールに関する認知度

多少の違いはあれど、2~3割程度の人しか「理解している」人がいない。知識があいまいな人はやはり1~2割、そして「理解していない」「はじめて聞いた」人は総じて過半数を占めている。

FXは少額で多額の利益を得られるチャンスがある代わりに、同額の損失をこうむる可能性もある。そのようなリスクを最小限にとどめるために必要な「仕組み」を理解している人がこれだけしかいないのは、調査結果が「取引をしている人」「興味ある人」の双方を含むとはいえ、非常に怖い結果ではある。

……と締めくくれればそれは一つの結論としてアリなのだろうが、同調査ではFX取引の経験者に対する調査結果区分も公開されている。そのうちもっとも経験年月の長い「3年以上」の人のデータのみを抽出し、作り直したのが次のグラフ。

FXの用語やルールに関する認知度(取引経験3年以上)
FXの用語やルールに関する認知度(取引経験3年以上)

回答者が少数なのでかたよりがあるが、それでも「はじめて聞いた」が皆無なのにはやや安心ができる。しかし同様のデータ・グラフを「取引経験1年未満」で作ると次のようになる。

FXの用語やルールに関する認知度(取引経験1年未満)
FXの用語やルールに関する認知度(取引経験1年未満)

状況次第では、知らないと致命的・「樹海逝き」も容易に想定できる「ロスカット」についてですら、「初めて聞いた」「理解していない」が合わせて1割以上もいるのは少々ゆゆしき事態といえる。

FXであろうと投機には違いなく、投機も投資同様に最終的には自己責任でしかない。その意味ではこれらのルール・用語は自動車に例えるなら「ブレーキやアクセル、クラッチ、テールランプの使い方やその存在理由」に他ならない。「初めて聞いた」「理解していない」それらを知らずに自動車を運転しているのと同じである。違うのは、自動車で「事故」れば周囲にも大きな影響を及ぼすのに対し、FXの場合は「一次的には」被害を受けるのは自分自身だけ、ということくらいか(もちろん経済的ダメージは二次的に周囲にも影響を与える)。

「これからFXを始めようか」と考えている人はもちろん、すでに取引中の人は必ず、最低限の仕組みやルールを確認し、理解した上で取引に望むようにして欲しいものである。

(最終更新:2013/09/01)

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