「FX市場は3年以内に1兆円産業に」矢野経済研究所言及

2007年07月11日 06:30

【矢野経済研究所】の白倉和弘上席研究員がブルームバーグのインタビューの中で、外国為替証拠金取引(FX)の市場展開について、「2~3年のうちに市場規模は1兆円に達する。顧客数100万口座は来年に達する」と言及し、急速な市場拡大はここしばらく続く見通しを示していたことが明らかになった(【該当記事】)。

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FXとはアメリカドルをはじめとした外貨を売買してその差益を得る金融商品のこと。単に為替の高低差を利用して利益を得るのなら【ソニー銀行】などの外貨預金を用いても良いのだが、FXの最大の特徴は「証拠金取引」にある。

この「証拠金取引」とは株式取引における「信用取引」のようなもので、少額の証拠金を担保として取引額を想定の元本とした差金決済を行うというもの。例えば30万円の元手を使う場合、外貨預金なら30万円そのものをアメリカドルに替えるしかないが、FXで10倍のレバレッジをかける(担保金の10倍の資金を運用する)のなら、300万円の資金を運用できることになる。つまり、「少ない資金で大きな運用と利益を」がFXの特徴。

最近ではFXで利益を得た投資家が脱税でお縄をちょうだいする事件が相次ぎ、皮肉にも「大儲けできるFXという投資方法がある」という話が世間一般に広まることになった。

FXに関する市場規模についてはすでに同矢野研が【6年間で口座数は58倍、市場規模は6100億円・外国為替証拠金取引(FX)に関する動向調査結果】で言及している。それによると2008年3月には市場規模が8314億6800万円・口座数が104万6883口座に達すると推測している。この推定伸び率なら口座数はすでに100万口座を来年には到達するし、「2~3年のうちに市場規模1兆円」も夢物語ではなくなってくる。また白倉氏は2004年の段階で、1日あたりの日本国内の為替取引530億ドルのうち17%ほど・91億ドルがFX分であると推計した。

FX事業を手がけている企業についても、6月の【マネーパートナーズ(8732)】以外に何社かが上場準備を進めていて、今後これらの企業が実際に上場を果たせば社会的認知度がアップし、さらに市場規模が広がるのではないかと推測。その一方で、「残高」「口座数」「顧客取引量」の3点から、各業者間の格差が広がっていることにも触れ、株式取引におけるネット証券企業同様に競争が激化していることにも言及している。

最後に同氏は投資家の投資行動に関して、「内外金利差に着目した高金利通貨買い」だけでなく、デイトレーダーも増加した現状を説明する一方、円安局面が長期化しているため、下手に高レバレッジをかけて相場の急激な変化に振り回されるような、市場のリスクに対する注意も必要であるとの見方を示している。

おりしも対米ドル相場では昨日10日夜半から急激な円高が進んでいる。ドイツのシュタインブルック財務相が強いユーロを肯定する発言が材料視されたのがきっかけとされているが、半日足らずで1円以上も円高に触れる展開が見られている。ここしばらくの間はゆるやかな円安基調で相場が展開していただけに、急な値動きに慌てふためいている人も少なくあるまい。

ノーリスクでハイリターンな金融商品などどこにもない。FXによる多額の利益を得られる可能性の裏には、少なからぬリスクもあることを肝に銘じる必要があるだろう。


(最終更新:2013/08/20)

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