日経平均株価の上昇率上位ランキングをグラフ化してみる

2008年10月15日 08:00

10月14日暴騰イメージすでに[株式市場雑感(08/10/14)]などでお伝えしているように、2008年10月14日の東京株式市場は先週末のG7後の各国の金融支援策の表明やその実施への好感、先週末の大きな下げの反動、さらには日本市場が月曜日休みだった際の海外市場の猛烈な上昇、そして国際会計基準審議会(IASB)が時価会計の適用基準を一部緩和することを承認・即時実行(【ロイター伝】)されたことを受けて、全面高の展開。日経平均の上昇率はバブル崩壊後のリバウンドにおいてつけた1990年10月2日の+13.24%を超え、史上最大の上げ幅+14.15%を記録した。色々な意味で「歴史に名を残す」データでもあり、ここに書き記しておくことにする。

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10月14日の日経先物サーキットブレーカー発動イメージ先に【日経平均株価の下落率上位ランキングをグラフ化してみる(10月10日版)】【日経平均株価の下落率上位ランキングをグラフ化してみる】にもあるように、先週は日経平均株価の歴史に刻まれるようなレベルの下げ幅が記録された。しかも8日水曜・10日金曜と「週内に二度に渡る」という、投資家にとっては悪夢のような一週間といえる。さらに先日10月14日は、史上最大の上げ幅を記録するに至り、「10月8日からの一週間で、東京株式市場は史上三番目・四番目の下げ幅と、史上最大の上げ幅を記録した」ことになる。乱高下という言葉以外に表現のしようがない。

また、10月10日金曜には急落で、そして10月14日火曜には暴騰で、それぞれ日経平均先物がサーキットブレーカー(急激な変動に対して投資家の「頭を冷やす」目的で、臨時に取引が一時中断される)が発動され、「二営業日連続してのサーキットブレーカー発動」という、こちらも前代未聞の出来事が発生している。いかに異様な事態であるかが分かる。

さて、日経のサイト上にある、日経平均株価の上昇率ランキングを見てみることにする。10月14日の数字も反映された、記事執筆時点で最新のもの。

2008年10月14日時点の、日経平均株価上昇率ランキング
2008年10月14日時点の、日経平均株価上昇率ランキング

当然のことながらトップには10月14日の+14.15%が座している。第二位にずり落ちたのは20年近く前のバブル崩壊後の上昇、その次となると戦争直後の1949年までさかのぼらねばならない。いかに14日の上げ幅がすさまじかったかが分かる。

また、この日の日経平均株価の推移を見ると、先の10日とはまったく逆の「上昇階段」の傾向が見受けられる。

2008年10月14日の、日経平均株価推移
2008年10月14日の、日経平均株価推移

一般的にポジティブな心境よりもネガティブな心境の方がパニック度が高くなる傾向があるので、14日の時よりは早めに階段が崩れている(=売買が成立している)が、それでも9時半近くまでは階段上のチャートが形成されていたことが分かる。どれだけ多くの銘柄が買い気配で推移していたかが理解できよう。

続いてこれを、日経平均株価の記録が残っている1949年以降の株価推移のグラフと共に、上昇率上位5位までをそのグラフ上に……としたいところなのだが、下落率の場合と異なり上昇率上位の日においては、「なぜ上昇したのか」の理由が明確化できないものが多い。これまで第一位だった1990年10月2日においても「バブル崩壊後の下げに対するリバウンド」という以上の説明は出来ない。そこで先の「下落率グラフ」の上に、日付と上昇率のみを色違いで重ねてみることにする。

日経平均株価推移と、日経平均株価下落率上位8位・上昇率5位まで(2008年は10月14日時点の株価)(クリックして拡大)
日経平均株価推移と、日経平均株価下落率上位8位・上昇率5位までまで(2008年は10月14日時点の株価)(クリックして拡大)

無理やり縮小したのでかなり読みにくくなっているが、クリックして細部を確認してほしい。なお上昇率の上位選択を五位までにしたのは、これ以上増やすとグラフそのものが文字で埋め尽くされかねないことと、上昇率においてはこれより下はあまり差異がなく、掲載の意味が薄いため。

記述中の各暴落の詳細については先の記事「日経平均株価の下落率上位ランキングをグラフ化してみる」を参照して欲しい。一方で上昇(緑色で表示)については特に説明を加えなかったが、これは冒頭で触れたように「急上昇・暴騰の理由はどの時点においても特段の理由が見つからない、複合的な要素によるもの」。

このようにして見ると、いかに10月8日からの一週間が歴史的で特異な期間であることが分かる。何しろ「下落率第三位・第四位」「上昇率第一位」の日をすべて含むのだから。また、「上昇率」「下落率」上位の時期を重ねると、

・大規模な暴落、暴騰は年単位の株価推移にはほとんど影響を及ぼさない。
・大規模な暴落の翌営業日にはその反動(リバウンド)から、大規模な暴騰を引き起こす場合が多い。
例:
 1949年12月14日(-6.97%)→12月15日(+11.29%)
 1987年10月20日(-14.90%)→10月21日(+9.30%)
 2008年10月10日(-9.62%)→10月14日(+14.15%)


などの傾向を見つけることができる。特に二番目の「大急落の翌営業日には冷静な判断に立ち返ることや買戻し、安値感などによる大規模なリバウンドが起きる」というのは興味深い傾向といえよう。

繰り返しになるが、この一週間でこれほどまでに乱高下な展開となるような市場動向はこれまでに類を見ない。レバレッジをかけた取引の場合、ちょっとしたミスが言葉通り命取りとなる場合もある。過流動性やスタンピード現象が顕著に見られることもあり、くれぐれも個人投資家諸氏には注意してほしいところである。


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【過去60年間の日経チャートと「7%」「20年サイクル」・本当に「長期投資」は必勝法なのか】

(最終更新:2013/08/02)

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