日経平均株価の下落率上位ランキングをグラフ化してみる(10月22日版)

2008年10月23日 06:30

10月22日暴落イメージすでに[株式市場雑感(08/10/22)]などでお伝えしているように、2008年10月22日の東京株式市場は前日のアメリカ市場の大幅な下落や、アメリカ経済の先行き後退感、さらには大幅なユーロ安・ドル安をきっかけに輸出産業関連銘柄が思いっきり売り込まれ、値がさ株を中心に全面安の状態となった。先日のように日経平均先物のサーキットブレーカーが発動するような下げ方ではなく、じわじわと下げるという、ある意味大変気持ちの悪い値の下げ方を見せた。額面上の下げ幅はそれほど大きくないものの、元々日経平均株価が低い水準にあるため、終値ベースでは日経平均の下落率は-6.79%をつけ、いわゆる「スターリンショック」後の余韻的な下げであった1953年3月30日につけた-6.73%を超えて史上10番目の値を記録した。ここまで短期間のうちに「上昇率」「下落率」の上位記録が塗り替えられるのも色々と複雑な心境ではあるのだが、表の更新と共にここに書き記しておくことにする。

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先の【日経平均株価の下落率上位ランキングをグラフ化してみる(10月10日版)】【日経平均株価の下落率上位ランキングをグラフ化してみる】、さらには【日経平均株価の下落率上位ランキングをグラフ化してみる(10月16日版)】にもあるように、今月半ばにおいて日経平均株価の歴史に刻まれるようなレベルの下げ幅が相次いで記録された。しかも8日水曜・10日金曜には「週内に二度に渡る」という、投資家にとっては悪夢のような一週間も我々は経験している。

その上10月14日は【日経平均株価の上昇率上位ランキングをグラフ化してみる】に記載したが、史上最大の上げ幅を記録するに至り「10月半ば以降だけで、東京株式市場は下落率上位10位以内のうち3回分の下げ幅、史上最大の上げ幅を記録」していた。そして22日にいたり、過去直近の3回の大幅下落率こそ上回らなかったものの、史上10番目の下落率を記録する急落が起きたことになる。

さて、日経のサイト上にある、日経平均株価の下落率ランキングを見てみることにする。10月22日の数字も反映された、記事執筆時点で最新のもの。

2008年10月22日時点の、日経平均株価下落率ランキング
2008年10月22日時点の、日経平均株価下落率ランキング

当然のことながらトップには相変わらず(そして幸いにも)1987年10月20日の「ブラックマンデー」における-14.90%が座している。第二位には16日の-11.41%が。そして第3位には歴史的事実として名高い、1953年3月5日の「スターリンショック」における-10.00%がその位置を占めている(それぞれの下落時の説明は[日経平均株価の下落率上位ランキングをグラフ化してみる]を参考のこと)。今回の22日の下げ幅は直近のものと比べると小粒ではあるが、歴代トップテン内に入るだけの急落ぶりであることに違いは無い。

ただしこの日の日経平均株価の推移は、過去の急落とは異なり、じわじわと下げていったため、「階段型」のチャートは形成していないことがわかる。

2008年10月22日の、日経平均株価推移
2008年10月22日の、日経平均株価推移

今回の急落は先の相次ぐ「暴落」と比べると、寄り付き前に壮絶な売り材料が出ていたわけではなく、五月雨式に市場に飛び込んできたこと、そして直近の「暴落」からまだ間もないため「また繰り返されるのでは?」と痛手も記憶に新しい投資家たちが、我先にと損失を最小限にとどめるために売り込んだのも、大きな要因と思われる。後場の引けにかけてもほとんど買戻しが入らずにずりずりと、出来高を伴わずに下げるあたりは、去年の「8.17.」と似たような雰囲気で、あまり気持ちのよいものではない。

続いてこれを、日経平均株価の記録が残っている1949年以降の株価推移のグラフと共に、下落率10位まで(要はこれまでのに22日のを追加した)、そしてせっかくなので上昇率5位までを加味した図を作ってみることにする。これでようやく(?)下落率は上位10位までが収まることになり、それなりに体裁が整った図となる……もうしばらくは更新したくないものだが。

日経平均株価推移と、日経平均株価下落率上位10位・上昇率5位まで(2008年は10月22日時点の株価)(クリックして拡大)
日経平均株価推移と、日経平均株価下落率上位10位・上昇率5位までまで(2008年は10月22日時点の株価)(クリックして拡大)

無理やり縮小したのでかなり読みにくくなっているが、クリックして細部を確認してほしい。なお上昇率の上位選択を五位までにしたのは、これ以上増やすとグラフそのものが文字で埋め尽くされかねないことと、上昇率においてはこれより下はあまり差異がなく、掲載の意味が薄いため。下落率が10位までなのは区切りを良くするため。今後今日の下落率(10位)を上回らない限り、この下落においてこのグラフを描きなおしするつもりはない。

このようにして見ると、いかに10月8日からの市場展開が歴史的で特異な期間であることが分かる。何しろ「下落率第二位・第四位・第五位・第十位」「上昇率第一位」の日をすべて含むのだから。特に下落率については10位中4つまでもがこの短い期間内に集約されていることになる。ぶっちゃけありえない。

以前の記事の繰り返しになるが、これほどまでに乱高下な展開となるような市場動向は、過去に類を見ないと断じて良い。レバレッジをかけた取引の場合、ちょっとしたミスが言葉通り命取りとなる場合もある。過流動性やスタンピード現象が顕著に見られることもあり、くれぐれも個人投資家諸氏には注意してほしいところである。

株価が明確に「底」と分かる局面においては、何もかもが投げ売られる状態が起きるという。「歴代10位の下げ率のうち4つまでがまとめて起きた相場展開で、これでまだ『明確な底状態でないのか』」と嘆く人も多いだろう。今回の急落相場はテクニカルもファンダメンタルも無視した外部的要因が強いため、過去の経験則があまり通用せず、しかもいつ終わるか分からない、五里霧中状態にあるといってよい。買いたくともおっかりびっくりにならざるを得ず、結果的に下げ止まらないという悪循環に陥っているわけだ。

果たして「底」はいつ訪れるのだろうか。すでにその時を迎えているのか、あるいはまださらにいけにえを捧げねばならないのか。それは誰にも分からない。


(最終更新:2013/08/02)

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