神奈川県で公共機関での禁煙・分煙条例案発表

2008年09月10日 19:40

たばこイメージ神奈川県は9月9日、成立すれば日本国内では初となる、屋内での喫煙を規制する「禁煙条例」の骨子案を発表した。不特定多数の人が出入りする公共の場において、受動喫煙(たばこを吸っている本人以外の人が、吸うつもりがないのに「たばこ煙」で吸っている状態になってしまうこと)による健康影響を防止するためのもので、全国の地方自治体などから注目を集めている(発表リリース)。

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たばこの受動喫煙に関する健康被害を考慮した条例の制定は各地で検討されているが、特に神奈川県では松沢成文知事が選挙公約としていただけに、非常に強力にプッシュされている。条例作成へのプロセスは【専用ページ】が設けられ、逐次最新情報が掲載されている。

当初は公共機関での完全な禁煙を目指していたが、特に外食・娯楽関連企業からの反発が大きく、結局いくつかの妥協が行われた。条例案も「神奈川県公共的施設における禁煙条例(仮称)」から「神奈川県公共的施設における受動喫煙防止条例(仮称)」と、「喫煙」そのものから「受動喫煙」を避けるためのものと表現の変更を余儀なくされた。

9日に発表された条例案の概要は次の通り。

●第1種施設は原則禁煙
 学校、体育館、病院、劇場、百貨店、官公庁、公共交通機関、金融機関、社会福祉施設など

●第2種施設は分煙・喫煙を選択できる
 飲食店、宿泊施設、サービス業施設(第1種施設以外)

●第2種の中でも次の施設は分煙化への移行に3年の猶予(待ち時間)
 飲食店(俗にいうキャバレーやバーなどの「飲み屋」)
 遊技場・娯楽施設(パチンコ、マージャンなど)

●該当しない場所
 住居や共同住宅、社会福祉施設の個室。宿泊施設の客室。公共的空間を持たない事務所。

●罰則
 個人喫煙には過料。施設管理者が適切な処理をしない場合には指導・勧告・命令・過料措置。さらに情報の一般公開。


今後この法案は検討委員会の審議を経て県として確定。その後県議会にかけられ、出席議員の過半数の賛成で成立されることになる。

カートン単位のたばこイメージ「受動喫煙」が「たばこの愛飲者以外に」大きな健康被害をもたらすことはすでに実証済みではある。が、その影響力の範囲や規制の強度のバランスについては賛否両論多種多様。個人の喫煙に関する好き嫌いや、今回の飲食・娯楽店業界からの反発にもあるように商売にも大きく関係してくるため、なかなかまとまりがつかない。

今条例案が可決すれば「条例」という罰則付きの「法律」で、公共機関における喫煙を防ぐ「後ろ盾」を設けることになる。つまりは禁止されている場所での喫煙を各場所の係の人が止める、強制力を持たせることができるわけだ。他の地方自治体に与える影響も少なくないだろう。

今後検討委員会、そして神奈川県議会でどのような論議が交わされ、法案がこのまま、あるいはさらに修正を余儀なくされ、可決成立するのか。注意深く見守っていきたいところだ。


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