野村HD、リーマン・ブラザーズのヨーロッパ・中東部門買収でも基本合意

2008年09月24日 06:30

株式イメージ【野村ホールディングス(8604)】は9月23日深夜、先日経営破たんをしたアメリカの証券銀行リーマン・ブラザーズの、ヨーロッパ地域と中東地域部門の2500人を超える雇用を継承することについて、基本合意に達したと発表した。これは事実上の買収を意味する。また、本案が成立するためにはいくつかの条件が満たされる必要があるとも言及されている(【発表リリース】)。先日のアジア・太平洋地域に続き、ヨーロッパ・中東地域の主要事業買収で、野村の事業基盤は一挙に拡大・拡充を果たすことになる。

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リリースなどによれば今回の「買収」においてはリーマン・ブラザーズのヨーロッパ・中東部門(イギリス、ドイツ、ロシア、アラブ首長国連邦、クウェート、カタールなどの10か国で構成)における投資銀行部門、株式業務などに所属する従業員の雇用だけでなく、事業インフラも引き継ぐ(=事実上の買収)。イギリスの大手銀行バークレイズなどとの間で競っていたが、結局野村がこの権利を手にすることになった。野村はリーマン・ブラザーズのこれら部門が持っている業務を引き継ぐことで、同地域のビジネス強化を推し進めることになる。ブランド「リーマン」については今後の協議の対象となる。

ただし前日のアジア・太平洋部門同様に、今回リーマン・ブラザーズが破綻する原因となった、トレーディングに関する資産と負債は買収しない。あくまでも野村「證券」を運営していくのに必要な人材をはじめとした経営資源を買い取る寸法だ。

世界規模の基盤強化を
あっという間に強化した野村。
「安い買い物」をしたのか
「貧乏くじをひかされた」のかは
今後の野村側のやる気と戦略次第

最終的な買収金額は現時点では明らかにされていないが、数百億円に達するとの話もある。また、リリース内の「いくつかの条件」が具体的には何を指すのかは現時点では明らかにされていない(買収金額そのものもそのうちの一つだろう)。今後細部の調整とその内容が明らかにされるにつれ、野村がどのような「お買い物」をしたのかがはっきりと分かるに違いない。またリリース中の文面にもあるように、野村はほぼ一日前にリーマン・ブラザーズのアジア・太平洋地域における事業買収の合意を果たしたばかりであり、「24時間の間にアジア・パシフィック地域に加え欧州・中東地域のビジネス領域を一気に拡充することができた」ことになる。

ほぼ同時に、【三菱UFJフィナンシャルグループ(8306)】も同じアメリカの証券銀行モルガン・スタンレーへの出資を表明している(【三菱UHJFG、モルガン・スタンレーの普通株式を最大20%取得へ】)。「ここが買い時」とばかりに日本側が手を差し出したのか、「どうにかして欲しい」とばかりにアメリカ側から助けを求められて日本側が仕方なく手を差し出したのかは当事者にかあずかり知らぬことではあるが、手を結んだことに違いはない。通常スタイルの銀行に姿かたちを変えつつあるアメリカの大手証券銀行との提携で、日本の大手銀行・証券会社がどのような国際戦略を構築していくのかも含め、今後の動向が気になるところだ。

事がうまく成れば、野村の今回の行動は「非常に上手な『お買い物』」として後世まで語り伝えられるに違いない。


■関連記事:
【野村HD、リーマン・ブラザーズのアジア部門買収で基本合意】

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