災害時のケータイ、もっとも役に立ちそうな機能は……

2008年08月31日 12:00

ドコモが試作した太陽電池内蔵型携帯電話イメージネプロジャパンは8月29日、比較的コアな携帯電話利用者を母体とした「携帯電話と災害」に関する調査結果を発表した。それによると地震をはじめとした自然災害において、携帯電話で使えたら便利だと思う機能のトップには「太陽電池/自家発電での充電機能」がついた。携帯電話に太陽電池式の充電機能が欲しいという要望は、通常使用時からよくあるものの一つだが、災害時にはその重要度がさらに高まるだけに、ニーズも高いものと思われる(【発表リリース、PDF】)。

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今調査は携帯電話の公式サイト「ザ★懸賞」上で8月7日・8日に行われたもので、有効回答数は4107人。男女比は42対58で、年齢階層比は30代がもっとも多く43%、20代が30%、40歳以上が25%など。発表側自身が認めているように、多少なりとも「コア(携帯電話の利用頻度、経験が長い)携帯電話ユーザーを対象とした」調査結果であることを念頭に置く必要がある。

昨今の災害、特に地震においては、発生直後の緊急連絡やその後の情報伝達・入手手段としての携帯電話の重要性が特に注目されている。一方で、充電場所の確保や回線の途絶・混雑など、その状況ならではの問題点も指摘されるようになった。これらの事例のように、災害時においては平時以上に「統合情報ツール」としての重要性が高まる携帯電話において、使えたら非常に便利であると思う機能を一つ挙げてもらったところ、もっとも多いのは「太陽電池/自家発電での充電機能」で過半数を占めていた。

災害時、携帯電話で使えたらとても役に立つと思う機能(択一)
災害時、携帯電話で使えたらとても役に立つと思う機能(択一)

今回の調査では「災害時の携帯電話利用で不安に思うこと」という問いも行われており、「回線の混雑」「電波障害」などを差し置いて、「バッテリー・充電切れ」が最大の不安要素として挙げられている。コンセントが使えない状況下に置かれることも容易に想定できるため、太陽電池など「独自で充電できる機能・機器」が求められるのは当然の結果といえる。

現状では太陽電池を「内蔵した」携帯電話は皆無(試作は2005年にドコモが行い、公開されている(【関連ページ】))。【GarbageKetai.comの専用ページ】でも紹介しているが、据え置き型、あるいはストラップ型の、携帯電話に充電できる太陽電池もちらほらと登場している。また最近では手回しの充電式防災用ラジオで、携帯電話への充電が出来る機能が付属しているものもある。これらの周辺機器を使うことで、ある程度ニーズには答えられることだろう。本体そのものへの太陽電池埋め込みは、もう少し先の話になるものと思われる。

その他の要望において、その現実性・可能性について検討すると

太陽電池/自家発電での充電機能……技術進歩次第。
家族間無線機・トランシーバー機能……類似機能的なものはすでに実装。直接電波を飛ばす「本物」トランシーバーは商用レベルにならず(※PHSでは現実ずみ)。
GPS等による現在地・避難所ナビ機能……GPSの現在位置機能はすでに実装。避難所はソフトサービスレベルの問題で今後のキャリア側の課題。
サイレン・警笛等の音が鳴る……サウンド音の試験機能で可能。
SOS信号等の光が出る……技術的には容易。
サーチライト機能……消費電力の問題もあるが技術的には容易。
ワンタッチで登録者にメールが送れる……技術的には容易だがニーズに疑問。
冷暖機能……消費電力の問題もあり事実上不可能。


となり、多くの点で消費電力がハードルとなっているのが分かる。

【今後欲しいケータイ充電器・トップは太陽電池式】【外出先での電池切れ経験は7割……携帯電話と充電器事情】にもあるように、日常使用時においても「携帯電話の電池切れを防ぐために、コンセントの要らない太陽電池を使った充電がしたい」というニーズは高い。太陽電池内蔵型の携帯電話について「技術進歩次第」としたのは、現状の太陽光発電型太陽電池では、携帯電話を十分に稼動させるための電気を充電させるために、非常に長い時間がかかってしまい実用的ではないのが最大の理由。要は「今の太陽電池だと電力量が足りない」ということだ。

ただし原油高や地球環境問題への注目が集まっていることで、太陽電池の技術革新は飛躍的なスピードを見せている。そう遠くないうちに、携帯電話に実装して十分使えるような太陽電池が登場し、多くの携帯電話に採用される時がやってくることだろう。

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