ガソリン高騰、地方ほど重石に

2008年08月07日 12:00

地方の自動車イメージJAF(社団法人日本自動車連盟)は8月5日、自動車所有者が持つ負担感に関する調査結果を発表した。それによると、ガソリン高や物価上昇で、自動車の保有や使用について「何らかの形で負担に感じる」人は地方に行くほど多いことが明らかになった。また「大変負担に感じる」人の割合も地方ほど多く、四国では半数近い48.6%に達している(【発表リリース】)。

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今調査は7月9日から31日までの間、JAFのウェブサイト上で行われたインターネット調査形式によるもので、有効回答数は1285人。18歳以上の自動車保有者を対象としているが、年齢階層や男女比などは非公開。

自動車を保有・使用する上での負担感は、全体では「大変」「やや」をあわせて84.1%。負担感の大きい「大変」だけでも36.3%に達していた。詳細はすでに【ガス高く ひと細る夏~ガソリン高などで84.1%が「自動車が負担」】でお伝えした通りだが、これを地方別に区分すると次の表になる。

ガソリン代高騰による自動車の保有・使用に対する負担の感じ方(地方別)
ガソリン代高騰による自動車の保有・使用に対する負担の感じ方(地方別)

交通機関が発達しており自動車以外にバスや電車などの公共交通機関を使う機会が多い東京圏・大阪圏は比較的「負担の感じ方」が少ない。また、人口が密集していて、普段の生活の中で自動車で遠出をしなければならない必然性が低いものと思われる。

一方東北、中国などの地方になると「負担を感じている」人の割合は増える。「大変」「やや」をあわせた「負担感じる派」は東北と中国で9割超え、四国も9割近くに達している。中でも「大変負担に感じる」と、重度の負担を訴えている人は中部・中国・四国で4割を超え、四国にいたっては5割近い数字を出している。

これは例えば「四国の自動車ドライバーの二人に一人が、ガソリン代高騰で『大変負担が増えた』と感じている」ことを意味する。生活に自動車がいかに密接にかかわっているかがわかる。


レポートでは具体的な意見についていくつか事例も寄せられているが、その多くが「必要時以外はできるだけ利用を避ける、自転車などを使う」「所有台数を減らす」「車の維持すら難しい」という意見。また、車の使い方に関する意見の集約でも、「車をあまり使わなくなった」「徒歩や自転車の利用を増やした」などの意見が多数よせられている結果が出ている。

地方社会にとって
自動車移動が
困難になるのは
死活問題

ガソリン高による影響は都心部より地方の方が大きい。この傾向はすでに【ガソリン高騰で苦境におちいるアメリカの地方社会】【ガソリン高がもたらすアメリカの消費性向の変移と】で触れているように、アメリカでは先行して起きている現象でもある。アメリカの場合、人口分散度が広く、移動距離が長いため、事は日本より重大な状況にある。アメリカの事例として

「(ガソリン高によって)行動範囲が狭められることで、周辺地域とのコミュニケーションが疎遠になる一方、地元周辺地域内での交流が活発になる。これは地元愛の高まりというプラス面もあるが、同時に排他性が強化されるというリスクも考えられる。(中略)都市や地域ごとの「都市国家群」のまとまりのような感覚になる可能性もないとはいえない」


という言及をしたが、これに近いことが日本でも起きるかもしれない。日本の場合はまさに言葉通り「村社会の確立」となるのだろうか。

もっとも、これも先の記事で述べているが、ライフスタイルが昔の「村社会」時代とは大きく異なっていて、個別の村単位での生活は難しいこと、さらにインターネットの普及で情報の隔絶はありえないし通販を活用する手立てもあるなど、阻害しうる要素も多い。一概に「閉鎖社会の登場」ということにはならないだろう。

ただし、ガソリン高が地方社会(特にコミュニケーションや人間そのものの行き来)において大きな打撃を与えているのは事実。何らかの工夫や手立てを打つ必要があることに違いはないだろう。


(最終更新:2013/08/03)

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