主要テレビ局銘柄の第1四半期決算をグラフ化してみる……(1)スポット広告と下方修正

2008年08月09日 19:30

広告イメージ先に【主要テレビ局銘柄の決算を比較してみる】で主要テレビ局(キー局)で上場もしている5局の財務・決算を比較した。前期における各局の決算データは広告収入の低迷や各テレビ局毎の特性、さらにテレビ業界全体が抱えている問題が浮き彫りにされており、非常に興味深い内容といえる。その決算締めから3か月経過した7月以降、各局から第1四半期決算データが公開された。現在進行形でテレビ局に何が起きているのか、肌身をもって知ることが出来る内容なので、ここにまとめて「見てみる」ことにする。

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「キー局」と「スポット広告」

本題に入る前にいくつか定義・説明を。前回の記事でも取り上げた5局、すなわちフジテレビ・日本テレビ・TBS・テレビ朝日・テレビ東京はいずれも民法放送局の系列ネットワークの中心「キー局」「主要局」である。上場もしており財務的な面で偽りの無い情報を公開する義務があるため、「外から」様子を確認しやすい。だからこそ一連の記事でピックアップしたともいえる。

続いて「スポット広告」と「タイム広告」について。テレビコマーシャル(TVCM)には提供方法で大きくわけてこの2つの方式がある。

「タイム広告」とは「番組提供広告」とも呼ばれ、放送される番組をスポンサードするもの。番組の最初や最後に「この番組は●×製菓、□▲食品の提供でお送りします」と出る、アレだ。広告費をテレビ局経由で番組に提供してその番組を後押しする代わりに、その番組内で自社の広告を出す、というもの。一社で独占する場合(「東芝日曜劇場」などが好例)もあれば、複数社で提供する場合もある。放送時間や視聴者性向をある程度絞れるため、効果的な広告展開が期待できるが、人気のある・効果の高い番組の広告費は当然ながら高い。

タイム広告とスポット広告
タイム広告とスポット広告

一方「スポット広告」とは、番組と番組の間に存在する時間帯(ステーションブレークと呼ばれる)に放送されるもので、どこかの番組に属するものではない。契約上詳しくは「スポット契約」(ある時間枠に放送される)と「フリースポット契約」(時間などは指定されず、一定期間内に指定した本数が放送される)の二種類があるが、どちらにしても「番組の色がほとんどつかない、じゅうたん爆撃的な広告」と考えれば良い。その性質上、短期決戦的な広告展開(新製品の発売間近な時、期間限定のキャンペーン)に使われることが多い。

5社中4社が業績予想修正

今回このような記事を書くきっかけの一つとなったのが、中見出しにある通り、キー局5局中4局までが業績予想修正を打ち出してきたため。具体的には

・テレビ朝日……売上▲4.1%、経常利益▲37.2%、純利益▲38.7%
・日本テレビ……売上▲2.2%、経常利益▲34.4%、純利益▲38.0%
・テレビ東京……売上▲3.3%、経常利益▲2.6%、純利益+4.6%
・TBS……売上▲3.2%、経常利益▲26.0%、純利益▲30.0%

※いずれも通期予想・前回発表予想からの変移


日本テレビに至っては減配予想・役員報酬の一部返上まで行っている。一方で、フジテレビはキー局の中では唯一業績予想修正をしていない。これは元々予想を堅めにしていたのと、映像音楽事業部門が伸びているおかげ。1/4期間を過ぎた時点で純利益の達成率が37%強と堅調な状況にあり、問題はないものと思われる。

(続く)

■一連の記事:
【主要テレビ局銘柄の第1四半期決算をグラフ化してみる……(1)スポット広告と下方修正】
【主要テレビ局銘柄の第1四半期決算をグラフ化してみる……(2)業績斜め読みとスポット広告の落ち込み】
[このリンク先のページ(tbs.co.jpなど)は掲載が終了しています]

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