サンエー・インターナショナル(3605)社長のインサイダーで課徴金1246万円勧告

2008年07月25日 06:30

株式イメージ証券取引等監視委員会は7月24日、人気ファッションブランド「ピンキー&ダイアン」「ナチュラルビューティー」などを展開する東証一部上場のアパレル大手【サンエー・インターナショナル(3605)】の三宅正彦社長にインサイダー取引に関する法令違反の事実が認められたため、1246万円の課徴金納付命令を出すように金融庁に勧告を行った。同社が2006年7月14日に行った増資で、株価が下落するのを予想して事前に手持ちの自社株を売りぬけたと認定した(【発表リリース】)。

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今件の詳細は【「ピンキー&ダイアン」のサンエー社長がインサイダー疑惑・株価大幅下落へ】で解説しているが、サンエー・インターナショナルは2006年7月14日に既存株式の2割に相当する300万株という大規模な増資を行った。そしてそれより前の4月20日に三宅社長がストックオプションを行使して自社株を4800株取得。合計2907万1000円で売りぬけをし、1000万円を超す利益を得ている。その売り抜け行為が結果的にインサイダー取引に該当する、というのが証券取引等監視委員会側の結論。

今件についてサンエー・インターナショナル側では【改めてリリースを発して(PDF)】おり、それによると以前今件が報じられた時のコメント同様に、

三宅による当社株式の売却行為が金融商品取引法に抵触しないかどうかに関し、主幹事会社の野村證券株式会社(以下「野村證券」)に度重なる相談・確認を行い、野村證券より問題がないとの回答を得ておりました。当社の増資は、この野村證券からの回答を得た上で実施したものでありました。

したがって、当社および三宅は当該株式売却行為が金融商品取引法違反には該当しない
と確信しておりましたが(以下略)


とし、かかる増資が野村證券によって持ちかけられたこと、三宅社長のストックオプション行使による取引がインサイダー取引に該当しないと「増資主幹事の野村證券から回答を得た」上で増資を実施したと説明している。要は「野村證券が問題ないと太鼓判押したから、三宅社長がストックオプション行使して利益を得た後でも増資したのに、話が違う」といっったニュアンスが感じられる内容。

前回の【解説リリース(PDF)】と今回のそれについて、野村證券への確認の部分を比較すると、

・前回(3月28日)
「その後、野村證券から新たに増資を持ち掛けられ、当社では、インサイダー取引に問われることはないのかを同社に確認したところ、同社から問題がないとの会社としての正式な回答を得たことから」

・今回(7月24日)
「しかしながら、三宅による当社株式の売却行為が金融商品取引法に抵触しないかどうかに関し、主幹事会社の野村證券株式会社(以下「野村證券」)に度重なる相談・確認を行い、野村證券より問題がないとの回答を得ておりました。当社の増資は、この野村證券からの回答を得た上で実施したものでありました」


となっている。今回のリリースでは「一度ではなく何度も相談や確認をし、間違いなくインサイダーにはあたらないという確約・回答を得ている」といった表現が加わり「サンエー側では違法行為をしないよう最大限の努力をした、むしろ野村證券側に責がある」との間接的主張をしているのが分かる。

なおサンエー側では当局との見解の相違があるとはいえ、金融庁から命令が下ればこれに応じること、今後の対応については近日中に開催する臨時取締役会で決定すると説明している。

先日の解説記事でも触れているが、サンエー側が一時中断した増資案について(状況の大きな変化も見られないのに)半年も経たずに再び検討を持ちかけ最終的に行わせるなど、主幹事の野村證券(のサンエー担当者)への疑問点が浮かばざるを得ない。


状況の進展次第では、今件に関する野村證券側の説明が求められることになるかもしれない。


(最終更新:2013/08/04)

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