ケータイで著作権抵触動画が無くなったら「利用しない」が約半数

2008年05月25日 12:00

インターネットイメージネットマーケティングを展開するアイシェアが5月23日に発表した調査結果によると、携帯電話の動画共有サイトにおいて、著作権に抵触する動画が削除された場合、そのサイトの「利用を止める」と回答した人が全体の約5割を占めることが明らかになった。動画共有サイトの人気の背景にある「著作権問題」だが、管理側は法と人気に板ばさみの状態で、難しい判断を求められているようだ(【発表リリース】)。

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今調査は4月17日から21日の間、無料メール転送サービスCLUB BBQの会員に対して行われたもので有効回答数は740人。男女比は53.1対46.9。年齢構成比は20代44.3%、30代55.7%。

先日【ケータイ動画普及中・観る時間は「夜のまったり時間」】でもお伝えしたように、携帯電話事業者によっては一部サービスが公式メニューに取り込まれるなど、携帯電話ユーザーの間にも浸透しつつある動画共有サイトだが、人気の高まりにつれて掲載されている動画の中でも著作権に抵触している作品への対処が問題視されている。各共有サイト側でも度合いの違いこそあれ、問題の対象とされる動画を削除する傾向にあるが、半ば以上「口だけで実働が伴わない」ところもあったり、削除しても次から次へと新しい問題動画が投稿されいたちごっこ状態になるなど、事態が解決されるような状況には無い。

そのような中でも次々に「問題動画を見つける」技術が開発されると共に、断固たる意思で削除を続けるとの方針も共有サイトからは打ち出されている(実績を見せないと法的処分が自らにも火の粉としてふりかかるからだ)。今後、現状よりは「著作権に抵触している動画」を見かける機会は少なくなるだろう。

そこで「著作権に抵触している動画が削除されてしまってもあなたはサービスを利用しますか?」と問いかけたところ、 「それでも利用する」は11.9%にとどまり、他のサービスに移行したりそのサイトは利用しない、つまり「動画を削除したサイトの利用を止める」と答えた人は約半数に登る結果となった。

著作権に抵触している動画が削除されてしまってもあなたはサービスを利用しますか?
著作権に抵触している動画が削除されてしまってもあなたはサービスを利用しますか?

「他のサービスに移る」と「その動画共有サイトを利用しない」の違いは、前者が対象サービスのみを利用していた人、後者が複数のサービスを利用していて対象サービスのみを使わないようにする、と解釈できる。

また「利用はするが利用回数が減る」は一応「利用する派」に含まれているが、運営側からすれば「閲覧ページビュー数・のべ利用人数の減少」につながるわけで、ネガティブな回答とも解釈できる。減った回数分の時間は他のサービスにまわされるか、あるいは動画共有サイト以外の携帯電話コンテンツにあてれるか、個人の選択によるが、いずれにしても「機会損失」には違いない。

著作権抵触動画が完全削除されると
利用者が半減する可能性

このデータから見れば、「法を厳粛に守るために積極的に著作権抵触動画を削除すると、自らの首が回らなくなりかねない」という推論が成り立つことになる。法的に問題視される動画の存在や管理上のウィークポイントはこの種のサービス開始時から指摘され、特に一部サイトでは半ば積極的にこの類の動画の投稿をうながし、事実上チェックをしなかった(ことにより集客を加速させた)のは事実。その「魅力」が無くなれば利用者の大きな減少が予想されるのは当然至極といえる。

動画共有サービスはインターネット特有のメリットが活かされ、非常に面白い、新しいコンセプトのサービスといえる。アイディア次第では新しい仕組みや文化、ビジネスを構築することも可能となるだろう。そのような「未来」を台無しにしないよう、適切な対応を見せてほしいものだ。「法を無視しないとビジネスとして成り立たない」というのなら、ビジネスモデルそのものに問題があったに違いないのだから。

……逆に考えれば、それだけ「ニーズ」があるコンテンツをみすみす逃している、権利保有側(主にテレビ局)にもビジネスチャンスを活かせないという問題があるのだが。


■関連記事:
【動画投稿サイトで「テレビ映像無くなれば利用減る」が6割、日経調査】

(最終更新:2013/08/06)

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