食品の値上げが食卓の●●化を促進する!?

2008年05月24日 12:00

和食イメージエルゴ・ブレインズは5月22日、食についての調査の結果を発表した。それによると値上げの影響でお菓子やパン、めん類、乳製品などの買い控えが進む一方、食事のジャンルそのものが和食化している傾向が明らかになった。一連の値上げの中でも上昇率が比較的小さいお米や野菜などを中心に品揃えが出来る、和食が好意的に受け止められ、食事に占める割合を増やしているものと思われる(【発表リリース、PDF】)。

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今調査は4月30日から5月9日までの間、ネット経由で1000人の有効回答を得た結果を元に分析したもの。男女比は60.5対39.5。年齢階層比は25~29歳が12.9%、40~44歳が11.9%、65歳以上が11.6%など。

買い控えをする人は約6割

さまざまな「食」に関する質問が今調査結果報告では行われているが、今回は「買い控え」と「食事のジャンル」にスポットライトを当ててみる。まずは「値上げが影響で買い控えをしている商品」について。

輸入食品と比べて割高なことが多い国産食品について、何割増までなら購入すると思うかをたずねたところ、「~10%割増しまで」と答えた人がもっとも多く、36.3%を占めた。

値上げの影響で買い控えしている商品
値上げの影響で買い控えしている商品

今設問は複数回答だが、「買い控えはしない」と答えた人が同時に特定商品の買い控えをしていると回答することはありえない。それを考えると、「買い控えをしない」との回答が41.8%に登っていることは、逆に6割近くは何らかの形で「買い控えをしている」ということにもなる。

「6割」という数字は調査方法や状況などで異なってくるのだろうが、多くの人が値上げで買い控えを意識しているという様子は【9割以上が「食品値上げで生活がきびしい!」】【「物価上昇を実感」約8割、節約による家計防衛は過半数へ】などの調査結果とあまり変わるところは無い。

一方、買い控えをする商品のジャンルとしては、「お菓子」「麺」「パン類」「乳製品」「冷凍食品」「レトルト食品」「加工食品」など、値上げが相次いで報じられているものに多い。年齢層別に見ると、20~30代では「麺類」、40代では「冷凍食品」、50代以降では「お菓子」が特に数字が高い。

値上げの影響で買い控えしている商品(年齢別)
値上げの影響で買い控えしている商品(年齢別)

さらに「お菓子」「お酒」「乳製品」「冷凍食品」「レトルト食品」「加工食品」など副食において、年齢が高まるにつれて買い控え率が高まっているのが分かる。

逆に「野菜」「果物」「お米」は「値上げが影響で買い控えしている」という回答が少ないことが分かる。

和食重視傾向強まる。その理由は……?

一方同調査では、普段の食事におけるジャンルについての問いも行っている。それによると前回調査(2007年11月)と比べ、朝食・昼食・夕食いずれにおいても「和食が増加」していることが分かる。

食事のジャンル
食事のジャンル

くだんのギョウザ問題の影響もあり「中華」が大きくその割合を減らしているのが顕著な傾向として見受けられるが、そのほかにも洋食が数字を減らし、その分和食が増えているのがひとめで分かる。

野菜やお米の
相対的割安感

食卓の
和食化傾向を
促進?

さて先の項目に戻り、昨今の値上げで買い控えがあまりされていない商品を振り返ってみる。「野菜」「果物」「お米」。「果物」はともかくとして、「野菜」「お米」で食事のジャンルを考えると、洋食や中華というよりは和食のイメージが強く思いかばれる。

「買い控えしている」回答率が低いのには、「高くても買わざるを得ない」「買い控えをするほど値上げはしていない」の二通りのパターンが想定できる。調味料はおそらく前者だろうが、「野菜」「果物」「お米」が他の食品同様に大幅値上げをしたという話はあまり聞かない。むしろ「お米」にいたっては「割安食品」として注目を集めつつある状況。

一つの推論、あるいは単なる偶然か相関関係以上のものではなく、因果関係ではないのかもしれないが、「食品の相次ぐ値上げが食事スタイルの和食化を導いている」可能性は十分に考えられよう。


【農林水産省のお米の販売データ】によると、お米の販売価格は引き続き下落傾向にある。【お米の作況、今年は「99・平年並み」。価格下落対策のため備蓄米を100万トンまで積み増しへ】にも説明されているように、日本国内のお米の消費量が昨今までは減少傾向にあり、需給のバランスが「供給過多」に傾いていたのが原因。

しかし去年夏以降(くだんの「サブプライムローン問題」の露呈化と、それに伴う先物市場への投機資金流入による商品先物市場の高騰化が起きた時期に一致する)からの相次ぐ食品の値上げで、相対的に割安感を得るようになったお米をはじめとする和食には、大きな注目が集まっている。

今後しばらくは、食品価格の安定化は望みにくい。そのような状況を考えれば、和食への注目度はますます高まり、お米へのニーズも増えてくる可能性は高い。また、戦略物資としての利用価値も出てくる。関連官公庁においてはお米の減反政策などさっさと打ち切り、むしろ増産に励むことが求められよう。またこれを機会に、農業を奨励するような政策を積極的に推し進める時期が来ていると認識すべきなのかもしれない。


(最終更新:2013/08/06)

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