アイシン精機が社員食堂の廃油を通勤バスの燃料に活用

2008年05月10日 12:00

アイシン精機の廃油活用通勤バスイメージ自動車部品やエネルギー関連事業に従事している【アイシン精機(7259)】は5月9日、自社の愛知県内の社員食堂で使われた食用油を回収してバイオディーゼル燃料(バイオエタノールなど)に精製、5月8日から社用通勤バスのバイオディーゼル100%燃料(B100)として活用したことを発表した。このバスは今後順次路線を拡大していくという(【発表リリース】)。

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バイオディーゼル100%燃料で走るアイシン精機のバス
バイオディーゼル100%燃料で走るアイシン精機のバス

今回運行されるバイオディーゼルバスは、愛知県刈谷市にあるアイシン精機本社と愛知県知立市にある知立駅とを結ぶ1路線で運行されるもの。これまでは廃棄していた社員食堂などの天ぷら油を集約して精製。燃料として用いる事で二酸化炭素排出量の軽減につなげると共にCSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)としてもアピールする。

アイシン精機の廃油活用通勤バス出発式イメージ県内事業所の食堂で使われる食用油は年間で約2万リットル。全部をバイオディーゼル燃料として再利用すれば、50トンの二酸化炭素削減効果が見込めるという。なお油を回収したりバスそのものの運行や給油といった運用実務部分は、アイシン精機のグループ会社が行う。

今後は愛知県内の各事業所と公共交通機関を結ぶ路線に拡大するなど運行路線を拡大。さらに社員食堂だけでなく従業員の家庭からの食用油も回収して燃料化することも計画している。

原油価格の高騰や二酸化炭素削減が声高に叫ばれるにつれて、各方面でエネルギーの節約や再生事業が進められている。食用油などの廃油を再利用する話も【「ほっかほっか亭」のプレナス(9945)、廃食用油を再利用して燃料として活用する計画を発表】【食用油の廃油でバスを運行・JR東日本がバイオディーゼル燃料の実証実験】など、大きな事業体や食品関連企業が相次いで実証実験の形で取り組みを始めている。

これら「新しい仕組みによるエネルギーの利用」は、そのエネルギーを生み出す手間や消費エネルギーとの兼ねあわせが難しい。例えば今回の廃油利用にしても、廃油の精製や回収に「従来使うはずだったガソリンの量以上のエネルギーを消費した」のであれば、対外アピール以上の効果は得られないどころか「地球と環境に厳しい」行為となってしまう。分かりやすくいえば「多くのガソリンを消費して、安いガソリンスタンドに給油しに行く」ようなもの。

各部門での効率・性能の向上や、さまざまな「工夫」が各事業体には必要不可欠。さらに技術開発の促進を図るため、ある程度の連携が必要になるかもしれない。自動車方面では今回のアイシン精機のような、その道のプロのリーダーシップが求められることだろう。


(最終更新:2013/08/06)

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