2008年4月度のコンビニ売上高は来客数増加するも既存店は0.2%のマイナス

2008年05月22日 08:00

コンビニイメージ日本フランチャイズチェーン協会は5月20日、2008年4月度におけるコンビニエンスストアの統計調査月報を発表した。それによると4月は月半ばを中心に雲りや雨の日が多かったものの、キャンペーン実施などで来客数が伸び、既存店来客数は前年同月比プラスとなった。しかし客単価が伸び悩み、既存店売上高は2か月連続してマイナスになった。気温が全般的に高めで、アイスクリームなどが好調という傾向も見られた(【発表リリース、PDF】)。

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今調査の概要は、月次展開一覧を収録したまとめページ【コンビニエンスストア(日本フランチャイズチェーン協会発表)】上で説明している。そちらで確認してほしい。

各データについて前年同月比は次のようになる。

●店舗売上高:既存店は2か月連続マイナス、全店は10か月連続プラス
・全店ベース……+2.0%
・既存店ベース…-0.2%

●店舗数
・+1.2%

●来店客数:既存店は2か月ぶりにプラス、全店は21か月連続プラス
・全店ベース……+2.6%
・既存店ベース…+0.7%

●平均客単価:全店は2か月連続マイナス、既存店は9か月連続マイナス
・全店ベース……-0.5%(589.5円)
・既存店ベース…-0.8%(586.0円)

●商品構成別売上前年同月比(全店ベース)
・日配食品……-0.2%
・加工食品……+1.4%
・非食品………+4.9%←プレ・タスポ効果?
・サービス……+4.8%←相変わらず堅調
・合計…………+2.0%

※既存店……1年以上営業中の店舗


4月は例年に比べると天候不順の日が多く、従来なら来客数が大幅に減る可能性があったのだが、一部チェーン店でキャンペーンを実施したため、結果的に来客数は大幅な増加という結果を生み出した。ところがその来客数増加効果を打ち消すほど客単価の下落率は大きく、結果的に売上高は全店舗ベースではプラスを維持したものの、既存店ベースではマイナスの値をはじき出してしまう。

キャンペーンによる
来客数増加も
客単価下落で帳消し

また、気候の低迷は継続中であり、4月はガソリン価格の一時的な下落が多少はポジティブに働いたものの、全般的なマイナストレンドに変わりはない。店舗数は相変わらず増加傾向にあることから、既存店の軟調さを新装開店の店舗の勢いでどうにか支えている状況に変わりは無い。いわば自転車操業……という表現はあまりにキツいか。むしろ「新陳代謝が激しい」と評価すべきなのかもしれない。

コンビニでもっとも大きな売り上げ割合を占め、企業毎の個性を持たせることができ、客に対する魅力をアピールできるのは日配・加工を合わせた食品に他ならない。今回発表月では日配食品の項目に分類される「アイスクリームやソフトドリンク」が堅調だったとコメントされているにもかかわらず、日配食品そのものが同月比でマイナスを示しており、引き続き主力商品であるはずの「お弁当」の不調が続いているようすがうかがえる。

お弁当の不調は
昨今のコンビニにおける
一大問題

・客の購買力の低下
・中食へのスライド
・安全性への懸念イメージ

メガシリーズやミニサイズ、地方の特産品とのタイアップなどさまざまな企画を展開しているにもかかわらずお弁当の売り上げが伸びないのは、「お客が買うお弁当の単価自身が下がった」「中食の普及」「お客のコンビニ弁当離れ」(いずれも遠因としてお客の購買力低下)を起因としているのだろう。また食の安全が強く求められるようになったのも一因かもしれない(外食産業で中食部門が伸びているのも、それを裏付ける材料となる)。

4月からは食品の値上げラッシュが始まり、ただでさえ高値感のあるコンビニ商品はますます敬遠される傾向がある。商品の単価が上がっているにもかかわらず客単価が落ちているのは、「高いから買わない」とする客が増えた傾向の現れ。このまま手を打たないと「高いから買わない」ではなく「高いからコンビニへは行かない」にスライドし、購入機会すら失われてしまいかねない。

タスポ効果の
有無は5月以降に。

……と、ここまでは先月の分析とあまり変わらない。今月はそれに、コンビニに「タスポ」という神風が吹きそうな感があるというポイントを加えねばならない。詳細は別記事(【喫煙者の3割が「自販機で買わない」taspo(タイポ)導入で起きる変化】)で触れているが、たばこの年齢認証システム「タスポ(taspo)」の導入で、たばこの自動販売機そのものが減り、またタスポを使うのが面倒な人がコンビニエンスストアでたばこを買う傾向が見受けられる。本格的な第一次導入(北九州・北海道・東北地域)は5月からだが、パイロットエリアでの導入やタスポシステムへの移行にあわせて、たばこの自動販売機を撤去する店舗の姿も見受けられ、その影響が非食品部門の増加に現れた可能性がある。

果たして本当に、タスポの導入でたばこ購入・ついで買い効果が現れ、神風がコンビニに吹くのか。次回のデータに注目したい。

なお4月から過去データについては(他の産業月次レポート同様に)まとめページにリンク集を掲載することになった。過去のデータは【まとめページ】からたどってほしい。

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