動画投稿サイトVSテレビ! 主要メディアの立ち位置変化を年齢順で見てみる

2008年03月30日 19:30

メディアイメージ先に【10代は動画投稿サイトが大好き!! 年齢階層別に見た「従来四大メディア」と新情報メディアのせめぎ合い】で解説した、ヤフーバリューインサイト発表の「情報メディアに関する自主調査結果」。全般的には「従来四大メディアの権威が落ち」「ネット系メディア、中でもQ&Aサイトなど新しい仕組みを持つサービスの人気が高まっている」という結果が出ている。【従来四大メディアとポータルサイトの利用度大幅に低下・動画投稿サイトが大きな勢力に】では「年齢層別にメディアの立ち位置に大きな違いがある」という結論が把握できた。それでは逆に「それぞれのメディア毎の、年齢経過と立ち位置の変化」はどうなのだろうか。今回は【発表データ】を元に独自に図表を作成し、見てみることにした。

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今調査は2007年12月7日から10日までの間にネット経由で行なわれたもので、有効回答数は1000。男女比率は非公開。年齢階層比は10歳刻み(10代は15~19歳)で均等割付。なお「前回調査」は2006年11月15日~17日にかけて行なわれている。また、ネット経由での調査のため、世間一般の傾向と比べてややネット関係のデータが有利になる傾向を前提にデータを見る必要がある。

また、少々分かりにくいので図の読み方についてあらかじめ解説すると、

・各円はそれぞれのメディアを表し、円の大きさは「今後の利用意向」を表現する。大きい円ほど「今後たくさん使われる」可能性が高い。
・縦軸は利用度合、横軸は信用度合を示す。円の中心部分が縦横軸のクロスした、つまりそのメディアの利用及び信用度の位置。
・円の上下関係(重なっている部分)は何の関係も無い。


あたりを念頭におけば問題は無い。

また今回の図は当方が元データを元に目測で円を描き直したため、多少のぶれが生じている可能性を考慮しておく必要がある。さらにすべての媒体を対象にしたのではきりがないので、従来型四大メディアのうち「テレビ」「新聞」、新メディアのうち特に成長著しい「動画共有サービス」「Q&Aサイト」のみを図式化した。

新聞:高年齢につれて利用度プラス、但し今後利用意向は中堅以降は期待できず

年齢層別新聞のポジション
年齢層別新聞のポジション

信頼度はすべての年齢でほぼ同レベルの高さを誇っている。少なくとも現状では新聞は「信頼性」という観点では権威あるポジションを維持していることが理解できる。

理由度では10代の将来利用度が一番高く、一方で現状利用度は一番低い。少なくとも10代においては「将来新聞をたくさん読もう」と胸ときめかせている人が大勢いることが分かる。そして年を経るにつれてその夢を現実のものとし、利用度は上昇している。

しかし20代以降は「将来利用度」が少しずつ減っているのが分かる。この図では比較できないが、他メディアと比べて「将来利用度」がきわめて小さいのがわかる。今後において10代から20代(10代からの移行組)の利用層は横ばいか増加の可能性が高いが、それ以上の年齢層では現状維持も難しいかもしれない。

テレビ:ポジションはほぼ固定・将来利用度は全般的に低め

年齢層別テレビのポジション
年齢層別テレビのポジション

四大従来メディアながら新聞とやや違った傾向を見せているのが「テレビ」。信頼度ではやや新聞に劣るものの、利用度では新聞より高く、しかも各年齢層で安定した位置を維持している。

しかし10代がやや大きめなものの、20代以降の「将来利用度」が非常に低く、特に50代ではけしつぶ程度の大きさでしかないのが分かる。この円の大きさ=将来利用度の調査結果がそのまま実際に推移すれば、テレビの利用度(=影響力)はこの数年で大きく減少する可能性も否定できない。

従来40~50代にとってテレビは欠かせない娯楽提供のツールだったはず。しかし現在では年末年始を除けば、歌番組や時代劇、歴史モノなどに代表される中高年齢層向けの番組は、NHKや放送大学以外ではほとんど放送されなくなった。マーケティングや現場の方針の影響ともいえるが、上記の図にあるように「10代より上の層では将来テレビをあまり見なくなる」という現状に対し、テレビ界はどのような答えを出してくるのだろうか。

動画共有サービス:高年齢ほど利用頻度は低い・将来性はやや高め

年齢層別動画共有サービスのポジション
年齢層別動画共有サービスのポジション

信頼性は低いものの、現在の利用頻度では新聞に近いポジションを維持しているのが動画共有サービス。ただし新聞とは逆に、年齢を経るごとに利用度は低くなる傾向がある。

動画共有サービスでは40~50代でやや少ないものの、どの年齢層でも従来メディアと比べて将来利用度が高めなのが特徴的。特に10代・20代において非常に大きいのが分かる。また50代でも「現在は」利用度数が少ないが、将来においては比較的大きな期待を持っているのが把握できる。

共有サービスという性質上、信頼性の上昇には何か新しい技術やルールの導入など、ブレイクスルー的な進歩が必要になるだろう。現状でそれが起きるかどうかを推測することは難しいが、少なくとも利用度そのものは今後全体的にかさ上げされるに違いない。

Q&Aサイト:全年齢層で信頼性・将来利用度高い

年齢層別Q&Aサイトのポジション
年齢層別Q&Aサイトのポジション

最後に「Q&Aサイト」のポジション。こちらは動画共有サービスとはまた違う、将来性が見出せる特徴を持っている。テレビと同じくほぼすべての年齢層で同一ポジションをキープしているが、テレビと違い全年齢層で将来利用度も大きなものとなっている。新メディアにしては信頼性も動画共有サービスと比べて高く、テレビとほぼ同じ立ち位置。しかも現状では利用度は低めなものの、すべての年齢層で「今後もたくさん利用する」と回答されている。

おそらくは数年のうちに利用度自身が上がり、図表上におけるQ&Aサイトの全体(点線の円)そのものの位置が上にスライドすることだろう。


このように各メディアをひとつずつ抽出し、それぞれの年齢層でのポジションを見てみることにより、各メディアがおかれている現状や問題点、将来性などが改めて把握できたように思われる。

今回は特徴ある新・従来2メディアずつを取り上げてみたが、年齢層別の配置傾向から見ると、「テレビはQ&Aサイト」「新聞は動画共有サービス」がそれぞれ近いポジションなのが分かる。媒体そのものの特徴からするとむしろ「テレビと動画共有サービス」「新聞とQ&Aサイト」が類似傾向を示すようにも思えるのだが、まさに真実は小説よりも奇なり、といったところか。

インターネット系メディアの特徴にもあるように、Q&Aサイトも動画共有サービスも他のサービスや機能を足し引きし、さらなる進化を遂げるだろう。分類もし難くなるかもしれない。他方、従来メディアはネット系メディアのような柔軟性は持ちにくい(物理的なメディアゆえの弱点)。

少なくとも今回の図表から見るに、将来的には劣勢に追いやられる可能性が高い四大従来メディア。それらが弱点を長所として活かせるような発想による進化、あるいはインターネットなどの新メディアを取り込めるのか。そして機動力を高めて、従来メディアそのものを底上げすることができるのか。今後の展開を注意深く見守りたいところだ。


(最終更新:2013/08/09)

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